毎年、京都の紅葉を何ヶ所も廻っていると、ちょっと残念な観光の仕方をしているなと感じる人を見かけることがあります。
特に移動の仕方や訪れる時期の選択に慣れていないようで、上手に紅葉の名所を巡っていない印象を受けますね。
ということで、今回の記事では、京都での紅葉狩りを少しでも快適に、そして良い思い出を残せるよう豆知識を紹介します。
電車やバスでの移動回数を減らす
京都の紅葉の名所は、有名な神社やお寺であることが多く、それらを中心に見て廻りたくなります。
しかし、それをすると電車やバスに乗車している時間が紅葉を見る時間より長くなるので、乗車中の混雑体験だけが思い出になりかねません。
もう京都に紅葉は見に行かないと思われると悲しくなりますね。
京都駅に到着したら、電車やバスに乗るのは行きの1回と帰りの1回だけにするのだと心に誓うのが大切。

京都駅
特にバスは移動に時間がかかるので、JR、地下鉄、近鉄でまず目的地に向かうことを考えましょう。
もしも、電車だけで目的地に向かえない場合は、到着した駅から目的地までバスを利用します。
例えば、銀閣寺に紅葉を見に行く場合、京都駅から市バス1本で行けますが、土休日限定の観光特急バス以外は、道が空いていても30分以上かかります。
でも、地下鉄で今出川駅まで行き、市バス203号系統に乗車して「銀閣寺道」まで行く方法なら所要時間は30分未満です。
そもそも、京都駅のバスターミナルが大混雑し、バスが来ても満員で乗車できず次のバスに乗るしかないといったことも起こりますから、目的地に到着するまでの時間は、当初の予想より長くなると思ってください。
京都に紅葉狩りに出かける際は、まず、京都市交通局のウェブサイトで、事前に市バスの路線図を確認しておきましょう。
どの駅からどのバスに乗車できるかがわかり、紅葉狩り当日の移動がスムーズになりますよ。
なお、京都市内の道路は渋滞しやすいので、マイカーの利用は控えてください。
目的地を1ヶ所決めて周辺を散策する
「大寺院の影に名刹あり」とはよく言ったもので、京都には誰もが聞いたことがある名所の近くに興味をひく施設が建っていたりします。
だから目的地を1ヶ所決めたら、その周辺を歩くことをおすすめしているのですが、紅葉についても有名な寺社近くに隠れた紅葉の穴場がいくつもあるので、周辺を見て廻るのが賢い散策の仕方です。
例えば清水寺。
京都で最も人気の観光名所で、紅葉も美しく多くの人で賑わいます。

子安塔付近から見た清水の舞台と紅葉
「やっぱり清水寺は紅葉がきれいだったね。じゃあ、次は金閣寺に行こうか」
というのはやめましょう。
清水寺と金閣寺は距離があるので、市バスを乗り継ぐと1時間くらいかかります。
これは、時間がもったいない観光の仕方です。
清水寺に紅葉を見に行ったら、高台寺や圓徳院といった近くの紅葉の名所を廻った方が時間を有効活用できます。
また、清水寺の子安塔近くの門から出て山道を約5分歩いたところに建つ歌の中山清閑寺も隠れた紅葉の名所で、人が少なく静かに紅葉を愛でることができます。
このように京都は、有名な紅葉の名所近くに必ずといって良いほど、知名度は低いけど美しい紅葉を見られる場所があります。
バスに何度も乗車して有名な観光名所を巡るくらいなら、お目当ての紅葉の名所を1ヶ所決め、その周辺を散策する方が充実します。
まったく聞いたことがないけど、すてきだなと感じるお寺や神社に出会えるのも、このように観光した際の醍醐味ですね。
「市バスを制す者が京都観光を制す」と言われたのは過去の話。
海外からの旅行者が増えた現在は、乗車回数を減らすことが高い満足感を得る秘訣です。
同じ電車の沿線沿いなら移動もあり
基本的には、目当ての紅葉の名所から歩いて廻れるその他の名所を巡るのがおすすめですが、同じ電車の沿線沿いにある紅葉の名所なら移動もありです。
例えば東福寺。
京都でも十指に入る紅葉の名所で、境内全体にカエデが満遍なく植えられており、晩秋に真っ赤に色づいた風景を楽しめます。

東福寺の紅葉
最寄り駅は、JRも京阪電車も東福寺駅です。
東福寺の紅葉を見た後、知恩院の紅葉を見たいのであれば、京阪電車に乗車し3つ目の祇園四条駅で下車すれば、北東に徒歩約10分以内で知恩院に到着します。
乗車時間を合わせても30分以内ですから、この程度なら電車移動もありですね。
他にも、花園駅にある法金剛院と退蔵院で紅葉を見た後にJRに乗車し嵯峨嵐山駅まで行って、嵐山周辺の紅葉の名所を歩くのも良いですし、山科駅近くの毘沙門堂で紅葉を見た後に地下鉄で醍醐駅まで行き、醍醐寺を拝観するのも良い散策の仕方と言えます。
見ごろ前より見ごろ後の方が人が少ない
京都の紅葉の見ごろは、例年11月下旬です。
できることなら、この時期に京都を訪れてもらいたいのですが、事情があって11月下旬は無理という方は、11月末から12月上旬の見ごろ後を狙いましょう。
11月中旬の見ごろ前は、フライング気味に紅葉狩りに訪れる人が多く混雑しがち。
京都に紅葉を見に行ったけど、人が多いだけで色づきが良くなかったと残念な感想を述べている方は、だいたい見ごろ前に紅葉狩りをしています。
反対に11月23日の次の週末を過ぎた後に京都を訪れた方は、意外と人が少なく、やや散っていたものの真っ赤な紅葉を見られて満足できたと語ります。
紅葉の見ごろ前のカエデは、まだ緑が多く残っていたり、茶葉を取り忘れた紅茶のような深い赤色だったり、透明感のある鮮やかな赤色になっていないことが多いです。
反対に見ごろをやや過ぎたかなという頃だと、葉は少なくなっていても、モミジはほとんどが赤色になっています。

紅葉が見ごろを過ぎた京都御苑
また、11月は拝観料を高く設定しているところがありますが、12月に入ると通常料金に戻ることが多く、ちょっぴりお得な気分に浸れるのも見ごろ後の紅葉狩りならではです。
11月30日も12月1日も、紅葉の見栄えはほとんど変わりませんから、あえて12月にずらして紅葉狩りに出かけるのも良い作戦ですね。
なお、紅葉の見ごろ情報は以下のウェブサイトで発信されますから、出かける前に確認しておきましょう。
建物内しか歩けない施設は写真撮影しやすい
京都は、紅葉の時期が最も人が多く、どこに行って撮影しても写真に人が写り込んでしまいます。
人ばかり写って肝心の紅葉を上手に撮影できなかったと嘆く方は多いですね。
どうしても人が写り込まないように写真撮影したいなら、建物内しか歩けない施設を訪れましょう。
例えば西陣の妙覚寺。
紅葉の時期には、本堂の特別公開が行われ、縁側からカエデしか植わっていない法姿園という庭園を鑑賞できます。
庭園内を歩くことはできませんから、どのように撮影しようと自ずと無人の写真ができあがります。

人が写っていない妙覚寺法姿園の写真
近くの妙顕寺(みょうけんじ)も、庭園拝観は建物内しか歩けないので、無人の紅葉の写真を撮影できます。
他にも、建物内から庭園を鑑賞する施設はいくつもありますから、紅葉狩りの計画時に探してください。
荷物は予想外の事故の原因になるから観光前に宿に預けよう
建物内を拝観する際は、できるだけ荷物を持って行かないのが無難です。
スーツケースは、床を傷つけることになりますから持ち込むべきではないですし、入り口で拝観を拒否される可能性もあります。
また、リュックも文化財を傷つける危険があるので要注意。
リュックを背負ったまま縁側から庭園を撮影する際、良い角度で撮影しようと1歩退いたら障子を破ってしまったということになりかねません。
拝観受付で、リュックは肩から降ろして手で持つように案内されているのを何度も見ています。
きっと、過去に背負ったリュックで文化財を傷つける事故が起こっているのでしょう。
京都で宿泊する場合、チェックイン前とチェックアウト後に荷物を預かってくれるホテルや旅館が多くなっていますから、まず宿に行って荷物を預かってもらい、手ぶらに近い格好で紅葉狩りに出かけることを強くおすすめします。
京都駅の宿を予約すれば荷物を預けやすいですが、京都駅以外で宿泊する場合でも、京都駅で荷物を預けられるサービスを提供しているホテルがあるので予約時に確認してください。
また、バッグを持っていく際は、手で持つか、肩からかける場合は体の正面に来るようにして、バッグが常に視界に入る状態にすれば、建物や展示物にぶつける危険性を下げられます。
池泉回遊式庭園も人が写り込みにくい
建物内から庭園を鑑賞する施設以外でも、池泉回遊式庭園なら、比較的無人の紅葉の写真を撮影できます。
例えば嵯峨の天龍寺。
池泉回遊式の曹源池庭園は、大きな池が配されており、ほとりから池に向かって撮影すれば人が写りません。

人が写っていない天龍寺曹源池の写真
対岸も歩けるのですが、参拝者は木々の後ろを歩くことになるため無人の写真を撮影できるんですね。
池を背に真っ赤なモミジとともに記念撮影しやすいのも池泉回遊式庭園の特徴です。
ただ、池が小さい場合には、対岸を歩く人が写ってしまうので事前に池の大きさを確認しておく必要があります。
天龍寺のように大きな池がある施設は、他に大覚寺、龍安寺、金閣寺、神泉苑などがありますよ。
特に大覚寺は建物内と大沢の池の両方を拝観できるので、無人の庭園と池の写真を撮影可能で、写真好きの方なら満足できるでしょう。

大覚寺の紅葉
ちなみに高雄の神護寺や嵯峨の大河内山荘といった山の上にある施設も、自然の景色を背景に記念撮影でき、他の人が写真に写り込みません。
境内を自由に歩ける寺社はどこも人だらけになりやすい
反対にどこにカメラを向けても人が写り込んでしまうのが、境内を自由に歩けるお寺や神社。
紅葉の永観堂と呼ばれる禅林寺は、庭園に池があり、建物内も歩けるのですが、境内を自由に散策できることから、人が入らない写真を撮影するのが困難です。

たくさんの人が写ってしまう永観堂
境内を歩き放題の有名な紅葉の名所は、無人の写真を撮影するのは諦めた方が良いでしょう。
私も、そのようなところで無人の写真を撮影しようと試みたことが数えきれないほどありますが、人がいなくなる瞬間を待ち続け、5分も10分も時間を無駄にした苦い経験があります。
そのせいで、拝観しようと思っていたところに行けなくなったこともありましたから、写真撮影するなら人が写っても構わないとの割り切りが必要です。
特に南禅寺のような拝観料を必要としない施設は混雑しやすく、無人の写真を撮影するのは絶望的です。

紅葉の時期は人が写真に写り込む南禅寺
どうしても無人の写真を撮影したい場合は、早朝を狙いましょう。
ただ、参拝時間が決まっている寺社もありますから、どこでも早朝に参拝できるわけではありません。
1日で廻れる紅葉狩りコース
以下の記事では、私が実際に訪れた紅葉名所のモデルコースを紹介しています。
どのコースも1日で廻れるようになっていますから、紅葉狩りの計画の際に参考にしてください。
ほとんどのコースが3ヶ所から5ヶ所程度の紅葉の名所を歩いて廻れるようになっていますが、中には名所間の移動に電車やバスを使わなければならないところもあります。
また、紅葉の写真は以下のウェブサイトに掲載していますので、よろしければご覧になってください。