11月下旬。
京都市左京区の大寧軒(だいねいけん)を訪れました。
大寧軒は、南禅寺が所有する庭園です。
以前、京の夏の旅で特別公開された時に拝観したことがあるのですが、その時にカエデが非常に多いので秋の紅葉が美しいんだろうなと思っていました。
そして、今年の秋に南禅寺の参道を歩いていると、大寧軒が特別公開されているという案内を偶然目にし、この機会に紅葉を見ておこうと思い拝観することにしました。
見ごろを迎えた紅葉としっとりとした苔
地下鉄の蹴上駅を出て、緩やかな坂道を下り、途中にある「ねじりまんぽ」というトンネルを抜けると、左手に大寧軒の塀が現れます。
駅からは、徒歩約5分ですね。
大寧軒の入り口に到着。
受付で拝観料500円を納めます。
門をくぐって大寧軒の敷地内に入ると、さらに苔むした門があります。
この門が庭園の入り口です。
門をくぐる前から、庭園の紅葉が見ごろを迎えているのがわかります。
門をくぐると、そこには、想像をはるかに超えた美しい紅葉風景が広がっていました。
ほとんどのカエデが真っ赤に色づき、ところどころオレンジ色のカエデが目に入ります。
庭園の中央には池があり、そのほとりのカエデも真っ赤に紅葉しています。
大寧軒には、もともと大寧院という南禅寺の塔頭(たっちゅう)が建っていました。
しかし、明治の上知令により、大寧院の土地を手放すことになり、民間の手に渡ることに。
庭園が造営されたのは明治38年(1904年)頃です。
南禅寺界隈には、庭園がたくさんあり、その多くを7代目小川治兵衛が手掛けています。
大寧軒の庭園も、そうなのだろうと思ってしまうところですが、作庭したのは、茶道藪内(やぶのうち)家の第11代家元である透月斎竹窓(とうげつさいちくそう)です。
庭園の東側に建つのは茶室の環水庵です。
庭園が造営された当初は、この環水庵にちなみ環水庵庭園と呼ばれていました。
しかし、後に南禅寺の所有に戻った際、環水庵庭園は大寧軒と改称されます。
茶室付近から北側に建つ書院に目をやると、美しい紅葉。
私が訪れた日は、曇り空でしたが、それがかえって良かったです。
地面のコケはみずみずしく見え、紅葉もしっとりとした趣があります。
庭園の南には、滝があります。
この滝は、琵琶湖疏水から引き込んだものです。
滝の流れは、池を作り、さらに細い流れとなって北隣の金地院に注がれます。
金地院に流れた水は、山県有朋の別荘の無鄰菴にも流れていきます。
その水の流れと一緒に見る紅葉も美しいです。
大寧軒は、東にそびえる大日山を借景としています。
庭園の西側から池越しに紅葉を眺めると、奥の大日山も目に入り、まるで山中で紅葉狩りをしているような気分を味わえます。
飛石を歩きながら庭園の南西に建つ東屋にやってきました。
東屋から眺める庭園もきれいです。
赤色のモミジと黄緑色のコケが、心に潤いを与えてくれるようであります。
枝先まで真っ赤なモミジ。
美しい庭園に見入っていると、いつのまにか1時間も時が過ぎていましたよ。
私が訪れた日の大寧軒は、人が少な目でした。
秋の南禅寺は大混雑しているのですが、大寧軒が特別公開していることに気づいていない人が多いようです。
そのおかげで、落ち着いて庭園を鑑賞できましたよ。
なお、大寧軒の詳細については以下のページを参考にしてみてください。