京都市左京区の哲学の道沿いに建つ大豊神社は、仁和3年(887年)に宇多天皇の病気平癒のために創建された社。
主祭神として祀るのは、医薬の神として信仰される少彦名命(すくなひこなのみこと)です。
天皇の病を治癒する目的で創建した社ですから、治病健康にご利益がある神さまを祀ったのは納得。
ところで、少彦名命は、なぜ医薬の神さまとして崇敬されているのでしょうか。
大国主命の国づくりを助けた神さま
少彦名命は、大国主命(おおくにぬしのみこと)の国づくりを助けた神さま。
大国主命が、美保の岬に来たとき、少彦名命が海からガガイモの殻の船に乗ってやってきたという。
少彦名命は体が小さく知恵のある神さまで、大国主命と義兄弟になって国づくりを行った後、突然、海の彼方の常世国(とこよのくに)に去っていきました。
粟の茎に乗って遊んでいたら、茎の弾力で常世国に飛ばされたそうで、ちょっと間抜けなところに親しみを感じる。
少彦名命が、医薬の神さまと崇められるようになったのは、国づくりの際、人々に病気の治療法を教えたことが由来で、後に薬師(くすし)から崇敬されるようになります。
また、平安時代には、神仏習合により、少彦名命は医薬を司る仏さまである薬師如来と結びつけられました。
下の写真に写っているのが、大豊神社の本殿です。

大豊神社
あまり大きくないものの、宇多天皇が病気平癒のために創建した神社ですから、その御神徳を大いに授かれそうですね。
大豊神社の末社には、狛鼠が人気の大国社があり、こちらには大国主命が祀られています。
少彦名命を祀る神社には、大国主社も合わせて祀られていることが多いです。
五條天神宮にも祀られている少彦名命
少彦名命は、京都市下京区の五條天神宮にも祀られています。

五條天神宮
弘法大師空海が、大和国から天神を勧請(かんじょう)したのに始まり、かつては天使社や天使の宮とも呼ばれていました。
医家の祖神として信仰されてきた当社には、少彦名命の他に大己貴命(おおなむちのみこと)と天照大神も祀られています。
大己貴命は大国主命の別称ですから、やはりここも、兄弟を合わせて祀っています。
五條天神宮は、この辺りの地名である天使突抜の由来になったことでも知られていますし、島流しになった神社としても歴史に名を残しています。
観光で訪れる人は少ないですが、歴史的に興味深い神社なので、病気平癒祈願で神社にお参りを検討されている方は、五條天神宮を訪れてみるのも良いでしょう。