大寧軒の秋の特別公開で鑑賞した庭園、建物、石造物

京都市左京区に南禅寺というお寺が建っています。

南禅寺は、京都を代表する臨済宗のお寺で、三門や水路閣など見るものが多く、旅行者や観光客の方に人気があります。

その南禅寺山内には、大寧軒(だいねいけん)と呼ばれる庭園があり、秋に特別公開されたので見に行ってきました。

上の記事では、紅葉を中心に大寧軒を紹介しましたが、今回の記事では、庭園内の建物や石造物などを紹介します。

書院周辺の石造物

大寧軒の最寄り駅は、地下鉄の蹴上駅です。

駅からは北東に徒歩約5分で、大寧軒の入り口に到着します。

三条通沿いにある「ねじりまんぽ」というトンネルを通ると近道です。

大寧軒の入り口は、敷地の北東にあります。

拝観料は500円。

入り口の石段を上った先には書院が建っており、その脇に水盤があります。

水盤

水盤

幅は1メートル以上あるでしょうか。

この水盤は地中から出てきたもので、旧大寧院にあったものではないかと言われています。

側面の正面には2頭の龍が、他の3面には牡丹唐草文様が彫られています。

牡丹唐草文様

牡丹唐草文様

小さな門をくぐった先には、池泉回遊式庭園が広がります。

庭園

庭園

受付でいただいた大寧軒の案内によれば、南禅寺は、江戸時代に約10万坪の境内を持っていましたが、明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により、規模の縮小を余儀なくされ、その際、大寧院を含め、多くの塔頭(たっちゅう)が南禅寺の所有から離れ民間の手に渡ったそうです。

その後、大寧院の旧地には、明治38年(1904年)に茶道藪内(やぶのうち)家の第11代家元であった透月斎竹窓(とうげつさいちくそう)が、露地風の繊細な要素と大胆な鑑賞物をもって、当時の粋を極めた個性的な池泉回遊式庭園を造営したとのこと。

大寧院の旧地が南禅寺に戻ったのは近年のことであり、現在は大寧軒と呼ばれています。

687坪ある敷地の北側に建つ書院。

書院

書院

この中に入って眺める庭園は格別でしょうが、中に入ることはできませんでした。

書院の縁側近くにある平べったい石は、利根川石の沓脱石です。

利根川石の沓脱石

利根川石の沓脱石

茶室藪内燕庵に三ツ小袖石と呼ばれる利根川石の飛石があることから、それにちなむものと思われているそうです。

書院の前にある井筒には水が湧き出しています。

井筒

井筒

この水は、琵琶湖疏水から引いたものです。

庭園の西端にまっすぐに立つ列石は、兵庫県豊岡市の玄武洞から切り出したとされる玄武岩の柱状石です。

列石

列石

現在は、玄武洞が天然記念物に指定されていることから、同じ石を運び入れることはできなくなっています。

なので、大寧軒に置かれたこの列石が、非常に貴重なものだということがわかります。

庭園にはびっしりとコケが生えいまずが、その中を歩けるように飛石が配されています。

飛石

飛石

大寧軒の飛石には、京都産の鞍馬石が多く使われているそうです。

鞍馬石は、花崗岩ではありますが、鉄分を多く含み、金気(かなけ)を吹き出すことから、「かね」を吹き出す縁起の良い石と言われているのだとか。

池周囲の建物や石造物

庭園の東端に建つ茶室は環翠庵です。

茶室 環翠庵

茶室 環翠庵

大寧軒の庭園は、かつては環翠庵の名にちなみ、環翠庵庭園と呼ばれていました。

この茶室の中にも入ることはできませんでしたが、茶室付近から眺める庭園の紅葉は美しかったですよ。

大寧軒には、琵琶湖疏水から水が引き込まれ、それが池になっています。

沢飛び

沢飛び

沢飛びは、流れを横断するように配置され、低い背落ちによって池へつながっています。

水の流れの中には、三角鳥居が建っています。

三角鳥居

三角鳥居

三方正面の明神鳥居で、上から見ると正三角形であることがわかります。

昭和初期に置かれたものとされています。

三角鳥居と言えば、右京区の蚕の社が有名ですね。

庭園の南端には、琵琶湖疏水を引き入れている滝があります。

滝

この滝から流れてくる琵琶湖疏水の水は、北隣の金地院無鄰菴にもつながっています。

もしも、この滝がなかったら無鄰菴の庭園は、芝生だけだったかもしれませんね。

庭園を見終えて書院の近くに戻ってきました。

庭園に入った時には気付かなかった書院脇の亀の形をした一文字手水鉢も最後に見ておきましょう。

一文字手水鉢

一文字手水鉢

大寧軒の庭園は、カエデが多く植えられているので、紅葉がとてもきれいでした。

きっと5月頃の新緑も美しいことでしょう。

また、新緑の時期に見に来たいものですが、普段は非公開の庭園なので、いつ特別公開されるのかはわかりません。

南禅寺に観光で訪れた時に大寧軒が特別公開されていたら、ぜひ拝観してください。

なお、大寧軒の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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