京都の熊野三山

京都には、熊野という名が付く神社が3つあります。

その3つとは、熊野神社、熊野若王子神社(くまのにゃくおうじじんじゃ)、新熊野神社(いまくまのじんじゃ)です。

いずれの神社も紀州(和歌山県)から、神様を勧請して創建された神社です。

熊野神社

熊野神社は、京都市左京区にあり、京阪電車の神宮丸太町駅から東に5分ほど歩いたところに建っています。

近くには、平安神宮といった有名な神社がありますね。

熊野神社

熊野神社

熊野神社は、弘仁2年(811年)に日圓が国家守護のため、紀州熊野大神を勧請したのが始まりと伝えられています。

一説によると聖護院の鎮守社として創建されたとも言われています。

平安時代には、後白河法皇の崇敬を受けました。

また、室町時代には、足利義満から広大な土地の寄進を受け、大いに発展したそうですが、応仁の乱(1467年)で焼失してしまいます。

再興されたのは江戸時代のことで、寛文6年(1666年)に道寛法親王の命で再建されました。

熊野神社は、日本で最初の夫婦神である伊弉冉尊(いざなみのみこと)と伊弉諾尊(いざなぎのみこと)を祭神として祀っていることから、縁結び、安産のご利益があると言われています。

熊野若王子神社

熊野若王子神社は、京都市左京区の哲学の道の南側に建っています。

地下鉄蹴上駅から、南禅寺を抜けて、徒歩15分ほどで行くことができますね。

熊野若王子神社

熊野若王子神社

創建は永暦元年(1160年)で、後白河法皇が紀州熊野権現(ごんげん)を勧請したと伝えられています。

室町時代には、足利家の崇敬を受け、8代将軍の義政が花見を催した場所としても知られています。

しかし、熊野神社と同様に応仁の乱で荒廃します。

後に、豊臣秀吉が再建しました。

新熊野神社

新熊野神社は、京都市東山区の京阪七条駅から東に10分ほど歩いたところに建っています。

新熊野神社

新熊野神社

熊野若王子神社と同様に、後白河法皇が、永暦元年(1160年)に熊野の神を勧請したのが始まりです。

しかし、新熊野神社も他の2社と同じように応仁の乱で焼失します。

その後は、寛文13年(1673年)に道寛法親王が再建しました。

境内には、後白河法皇が自ら植えた大きな楠があり、京都市天然記念物に指定されています。

新熊野神社も、熊野神社と同様に安産のご利益があると伝えられています。

熊野三山の共通点

以上、簡単に熊野三山の各神社について書きましたが、いくつか共通点がありますね。

まず、一つは、後白河法皇の崇敬を受けたという点です。

後白河法皇は、熊野権現を深く信仰していて、33回も熊野御幸を実施したとのこと。かなりの熊野マニアだったわけですね。

そして、二つ目は、応仁の乱によって焼失していることです。

応仁の乱は、京都の神社やお寺などたくさんの建築物や文化を燃やしてしまったのですが、熊野三山もその犠牲になってしまったんですね。

平安時代末期の源平の争乱の原因を作った後白河法皇に崇敬された熊野三山が、室町時代の応仁の乱で焼失したというのは、何かの因縁なのでしょうか?

熊野三山へのアクセス

1日で熊野三山に効率的に参拝する方法を紹介しておきます。

経路はいろいろありますが、京都駅から出発する場合は、熊野若王子神社→熊野神社→新熊野神社の順で参拝すると良いと思います。

まず、京都駅から地下鉄に乗車し蹴上駅で降りて、熊野若王子神社に参拝します。

次に、丸太町通を西に20分ほど歩いて熊野神社に向かいます。

熊野神社の参拝後は、西に5分ほど歩いて神宮丸太町駅から京阪電車に乗って七条駅で降ります。そこから、東に10分ほど歩くと新熊野神社に着きます。

帰りは、新熊野神社から南西に10分ほど歩くと東福寺駅に着きますので、JRで京都駅まで行ってください。

行きと帰りの順番は逆でも問題ありません。

京都駅でバスの1日乗車券を購入すれば、それほど歩かずに済みますが、乗り継ぎがややこしいです。

熊野三山に縁結び安産祈願でお参りになる場合に参考にしてみてください。