3月上旬に京都市東山区の東福寺に光明宝殿の特別公開を見に行った後、北東に10分ほど歩き、新熊野神社(いまくまのじんじゃ)に参拝しました。
新熊野神社には、過去に何度か参拝していましたが、ここ最近は通りかかることはあっても、境内に入ることはありませんでした。
なので、久しぶりに今熊野神社の境内に入ってお参りをしていくことに。
1本の白梅が満開
新熊野神社の最寄り駅は、京阪電車の七条駅です。
駅からは、南東に10分ほど歩くと東大路通に面した鳥居の前に到着します。
鳥居の近くには、大きな大きなオオクスノキが植えられています。
あまりの大きさに石造りの鳥居が、とても小さく見えます。
新熊野神社は、永暦元年(1160年)に後白河上皇が、紀州の熊野権現(くまのごんげん)を勧請(かんじょう)し、法住寺殿の鎮守としたのが始まりです。
その時に熊野より移植、国家鎮護と万民福祉とを請願し、手植えしたのが、このオオクスノキだそうです。
オオクスノキの前には拝所があり、その近くには、大楠(くすのき)さんのさすり木が置かれています。
新熊野神社のオオクスノキは、影向の大楠(ようごうのくすのき)と呼ばれ、健康長寿、病魔退散にご利益があるとのこと。
特に後白河上皇は、常にお腹を患っていたことから、お腹の神さまとしても信仰され、大楠大権現(くすのきだいごんげん)と崇敬されています。
境内の中央に建つ本殿。
それでは、本殿にお参りをしましょう。
現在の本殿は、寛文13年(1673年)に造営されたものです。
近くの説明書によると、その構造形式は、平面構成とともに熊野本宮証誠殿と同じで、全国的に見ても、他に類例が少ないのだとか。
しかも、熊野本宮証誠殿よりも古く、熊野造の古制をよく伝えている貴重な遺構として、京都市指定有形文化財に指定されています。
本殿の奥で、白梅が満開になっていました。
鳥居の外からでも、この白梅が満開になっているのがわかりましたよ。
今回、新熊野神社に参拝したのは、この白梅が外から見えたからでもあるんですよね。
新熊野神社の梅は、この白梅1本だけのようです。
少々、見にくい場所にありましたが、青空の下、真っ白な花がきれいに咲いていましたよ。
梛の木
白梅の近くには、梛(なぎ)が植えられていました。
このナギは、昭和55年(1980年)に浩宮徳仁親王殿下が、成人式を挙げられた際に記念植樹されたそうです。
植樹された時は、樹齢20年だったとのこと。
白梅の近くには、椿も植えられており、白色の八重の花を咲かせていました。
まだつぼみが多かったので、これからもっと多くの花を咲かせそうです。
ナギは、本殿の前にも植えられています。
新熊野神社は、梛の宮とも呼ばれており、ナギの名所でもあります。
ナギの葉は、多くの縦脈からなり、切れにくいことから、縁結びの木とも呼ばれています。
また、実が2つ並んで実ることから、夫婦円満のめでたい木ともされています。
他にも、ナギは、罪穢(つみけがれ)、災禍(わざわい)、病魔(やまい)などをナギはらう霊験があると信じられており、熊野詣などには、道中安全のお守りともされました。
朝凪(あさなぎ)、夕凪(ゆうなぎ)の「ナギ」から、安全、無事を守り、平和と幸福を招来する霊樹とも言われているそうですよ。
本殿の東側には、能の石碑が置かれています。
新熊野神社は、室町時代に世阿弥が足利義満に能を奉納した地としても知られています。
能の石碑の近くには、花の窟神社(はなのいわとじんじゃ)のミニチュアもあります。
花の窟は、三重県熊野市有馬にあり、伊弉冉命(いざなみのみこと)の埋葬地で、熊野信仰の原点とされています。
新熊野神社の花の窟神社には、イザナギとイザナミの国造りの光景が描かれていますよ。
本殿にお参りをし、きれいな白梅も見たので、そろそろ新熊野神社から出ましょう。
この後は、智積院の梅を見に行きました。
なお、新熊野神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。