京都には、多くの庭園があります。
ほとんどの庭園がお寺や神社にありますが、中には西洋建築に似合うように造られた庭園もあります。
たくさんある京都の庭園ですが、最も雅に感じられるのが京都市中京区にある神泉苑ではないでしょうか。
拝観料は不要
神泉苑には、地下鉄の二条城前駅から押小路通を西に5分ほど歩くと到着します。
少し遠回りになりますが、押小路通の1本南にある御池通から神泉苑に入るのがおすすめです。
御池通側から見た方が、苑内の風雅な景色を見渡せますよ。
苑内は、法成就池(ほうじょうじゅいけ)と呼ばれる大きな池が大半を占め、その西側二種類の法成橋(ほうじょうばし)が架かっています。
この池と橋を一緒に見るのが、神泉苑では最も雅ですね。
神泉苑は、平安京が造営されたときの禁苑でしたが、現在は東寺に属す寺院となっています。
その名は、常に清泉が湧き出していたことが由来です。
神泉苑は、桓武天皇以後、歴代の天皇が行幸遊園を行った地で、宴遊、相撲、賦詩などの行事が催されました。
そのような高貴な人々が遊園を行った神泉苑ですが、現在は、誰でも自由に無料で入ることができます。
そう、今は、気軽に神泉苑を見ることができるのです。
池の中央には、善女龍王社が建っています。
天長元年(824年)に日本中が干天の際、勅命により、弘法大師空海が善女龍王を勧請(かんじょう)し、祈雨の法を修しました。
空海が守敏と雨ごい合戦を行ったのも、神泉苑と伝えられています。
善女龍王社の前には、日本で唯一の恵方社があります。
歳徳神(としとくじん)を祀る当社は、毎年、その年の恵方に向かって礼拝できるように向きが変わります。
神泉苑には、晴れている日に訪れるのがおすすめです。
上の写真のように法成橋が、法成就池に映った景色は特に美しく感じられますよ。
神泉苑の四季
神泉苑は、四季折々の景色を見せてくれるので、いつ訪れても、その風景を楽しめます。
春は、法成就池のほとりで咲く桜が美しく、龍頭船と一緒に眺めると、まるで平安貴族になったような気分を楽しめますよ。
弘仁3年(812年)に嵯峨天皇が日本で初めての桜の花見の詩宴を催したのも、ここ神泉苑です。
桜が散った後に法成就池にできる花筏も見事です。
初夏にはツツジが咲き、また、梅雨にはアジサイを見ることもできます。
秋には菊の花も咲きます。
そして、紅葉も。
現在の神泉苑は、慶長7年(1607年)に二条城の内堀が造営されるに伴って、敷地が大幅に削られ、平安時代よりも縮小しています。
かつては、南北4町、東西2町の広さだったというのですから、南北に400メートル以上、東西に200メートル以上もの苑池があったことになります。
苑内には、乾臨閣(けんりんかく)や左右の楼閣、釣殿(つりどの)などの建物も建っていたそうです。
冬には、池のほとりでサザンカも咲きますよ。
神泉苑は、貞観5年(863年)に祇園祭の前身となる御霊会(ごりょうえ)が初めて行われた場所でもあります。
京都の人にとって、非常に馴染みがある庭園が神泉苑なのです。
京都に旅行や観光で訪れたときは、ぜひ、神泉苑にも足を運んでください。
なお、神泉苑の詳細については以下のページを参考にしてみてください。