子年の初詣は、やはり、ネズミと関係がある神社に訪れたいもの。
京都でネズミと関係がある神社として最も有名なのが、大豊神社の境内に建つ大国社です。
この大国社に祀られている大国主命(おおくにぬしのみこと)が、ネズミと縁があるんですね。
大国主命は、他にも多くの神社に祀られていますから、大豊神社に限らずに大国主命が祀られている神社に初詣に行けば、1年間の運気が上がるかもしれませんよ。
オオクニヌシとネズミの関係
オオクニヌシは、日本神話に登場する神さまです。
国譲りで有名なあのオオクニヌシですね。
オオクニヌシとネズミの関係については、古事記に記載があります。
大正時代に発表された鈴木三重吉の古事記物語に収録されている内容を要約すると、以下のような感じになります。
オオクニヌシには、八十神(やそがみ)と呼ばれるたくさんの兄弟の神さまがいました。
人の悪い八十神は、ヤガミヒメに求婚しますが、ヤガミヒメは八十神と結婚する気はなくオオクニヌシと結婚すると言います。
すると、八十神はオオクニヌシを殺してしまいました。
それを知った生みの母は、オオクニヌシをかわいそうに思い生き返らせます。
しかし、その後もオオクニヌシは八十神に殺され、母に生き返らせてもらいます。
母は、このままだとオオクニヌシがかわいそうなので、スサノオが治める根堅国(ねのかたすくに)に行きなさいと言いました。
オオクニヌシは、母が言うように根堅国に行きます。
そこで、スサノオの娘のスゼリヒメと出会い、2人は相思相愛になります。
しかし、スサノオはそれが気に入らず、オオクニヌシに試練を与えます。
その晩、スサノオは、オオクニヌシにヘビがいる室で寝るように命じます。
すると、スゼリヒメは、肩掛けのように使う比礼(ひれ)をオオクニヌシに与え、ヘビがやってきたら、これで退治するように教え、オオクニヌシはそれにより難を逃れました。
次の晩も、スサノオは、オオクニヌシにムカデとハチがいっぱいいる室で寝るように命じます。
でも、再び、スゼリヒメが首飾りの比礼をオオクニヌシに渡し、それでムカデやハチを追い払い、一晩中、楽に眠ることができました。
スサノオは、二晩もオオクニヌシが無事であったことから、今度こそはと思い、鏑矢(かぶらや)を草原の真ん中に射こみ、オオクニヌシに取ってくるように命じます。
オオクニヌシは、それに従い草原に向かいました。
すると、スサノオは、草原に火を放ち、オオクニヌシの四方は火で囲まれました。
逃げ場を失って驚くオオクニヌシ。
そこに1匹のネズミがやってきて、「うちはほらほら、そとはすぶすぶ」と言います。
何のことか思案したオオクニヌシは、そのわけを悟り、足の下を強く踏んだところ、そこには大きな穴がありました。
オオクニヌシは、その穴に隠れ、火が遠のくのを待ちます。
そのうち、先ほどのネズミが、スサノオが射た鏑矢を探し出し、口にくわえて持ってきました。
スゼリヒメは、オオクニヌシが死んだと思い葬式の準備をします。
スサノオも今度は死んだだろうと思っていました。
しかし、オオクニヌシは、元の姿で焼け跡から出てき、スサノオに鏑矢を手渡しました。
その後、オオクニヌシは、スゼリヒメを背負って根堅国からの脱出に成功しました。
このような伝説から、ネズミはオオクニヌシの神使とされるようになります。
オオクニヌシを祀る神社
では、子年に初詣に訪れたい京都のオオクニヌシを祀る神社をいくつか紹介します。
大豊神社の大国社
冒頭でも述べましたが、京都市左京区の大豊神社の境内に建つ大国社には、大国主命が祀られています。
この大国社の社殿の前には、かわいらしい姿をした狛鼠がいます。
こちらは、口を閉じた吽形(うんぎょう)の狛鼠。
そして、こちらが口を開けた阿形の狛鼠です。
大国社の狛鼠は、よく頭に花が乗せられています。
大豊神社が鎮座する地は、椿ヶ峰のふもとです。
その名のとおり、椿がたくさん咲き、大豊神社の境内でも1月から4月にかけて様々な種類の椿が花を咲かせますよ。
その落花を神社の方や参拝者が、狛鼠の頭に乗せていくんですね。
大豊神社の大国社は、狛鼠が有名ですから、元日は混雑するかもしれません。
混雑するところが苦手な方は、元日を避けてお参りをした方が良いでしょう。
地主神社
京都市東山区の清水寺の境内に建つ地主神社(じしゅじんじゃ)にも、大国主命が祀られています。
地主神社は、京都で最も古い縁結びの社と言われています。
大国主命が祀られている神社は、縁結びのご利益を授けてくれますから、良縁に恵まれるようにお願いしておきたいですね。
境内には、恋占いの石も置かれているので、恋が叶うかも占っておくと良いでしょう。
なお、地主神社に参拝するには、清水寺の入山料400円が必要です。
八坂神社の大国主社
同じく京都市東山区の八坂神社には、大国主社に大国主命が祀られています。
こちらも、縁結びのご利益を授けてくれることで有名です。
恵美須神社
恵美須神社も京都市東山区に建っています。
恵美須神社は、その名のとおり、ゑびすさまを祀っているので、商売繁盛のご利益が有名です。
ゑびすさま以外にも、本殿には、大国主神も祀られているので、子年にはお参りしておきたいですね。
1月10日前後に催される十日ゑびす大祭の時に参拝するのがおすすめです。
今宮神社
京都市北区の疫病退散で有名な今宮神社も、子年の初詣におすすめです。
祀られているのは、大己貴命(おおなむちのみこと)です。
オオクニヌシじゃないのかと思われるでしょうが、オオナムチはオオクニヌシの別名です。
1年間、元気に過ごしたいと願う方は、今宮神社に初詣に行くと良いでしょう。
由岐神社
京都市左京区の鞍馬寺に建つ由岐神社にも、大己貴命が祀られています。
天慶3年(940年)に王城の北方鎮護のため、宮中から勧請されたと伝えられています。
鞍馬山の斜面に建つ懸造(かけづくり)の境内と割拝殿が特徴的ですが、冬は雪が積もることがあるので、元日に初詣に訪れる際は足元に注意してください。
由岐神社はご利益がたくさんありますが、本殿には赤ちゃんを抱く狛犬がいることから、子授けや安産のご利益が特に有名です。
粟田神社
京都市東山区の粟田神社も、大己貴命を祀っています。
粟田神社は、京の七口のひとつである粟田口に建ち、古くより旅人が旅行の安全を祈願したことから旅行安全のご利益があると伝えられています。
境内には、源義経が奥州平泉に旅立つ際に祈願した出世恵美須神社もありますよ。
五條天神宮
京都市下京区の街中に建つ五條天神宮にもまた、大己貴命が祀られています。
天使社とも呼ばれ、平安遷都(794年)にあたって空海が大和国から天神を勧請(かんじょう)したのが始まりとされています。
医家の祖神として信仰され、現在は厄除けのご利益があるとされています。
この付近の天使突抜(てんしつきぬけ)の地名の由来になったことでも知られる神社です。
安井金比羅宮
京都市東山区の安井金比羅宮には、大物主神(おおものぬしのかみ)、崇徳天皇、源頼政が祀られています。
この中で大物主神は、大国主命の別名です。
当宮は、悪縁を切り良縁を結ぶ祈願所として知られており、境内には、縁切り縁結び碑(いし)と通称される穴が空いた大きな石が置かれています。
表から潜れば悪縁を切り、裏から潜れば良縁に恵まれると信仰されています。
城南宮
京都市伏見区の城南宮は、平安遷都の際、王城の南の守護神として創建されたと伝えられています。
祭神として祀られている八千矛神(やちほこのかみ)は、大国主命の別名です。
方除けのご利益があると信仰されていますから、引っ越しを予定されている方は参拝しておくと良さそうですね。
他にも、京都にはオオクニヌシを祀る神社はあると思います。
ご近所にオオクニヌシが祀られている神社がある場合は、子年の初詣に訪れると良いでしょう。
また、オオクニヌシは、葦原色許男神(あしはらしこおのかみ)、宇津志国玉神(うつしくにたまのかみ)といった別称も持っていますので、祭神がこれらの表記の神社にも、子年にはお参りしておきたいですね。