東山三十六峰は実際に36の峰がある

京都市の東には東山という山がそびえています。

よく東山三十六峰と呼ばれることがありますが、この呼び名は中国の嵩山(すうざん)が嵩山三十六峰と呼ばれることから、それを真似て名付けられたと伝えられています。

なので、東山三十六峰と言っても実際に36の峰が存在しているわけではなさそうな気がしますよね。

ところが、東山には本当に36の峰が存在しているようです。

比叡山から稲荷山まで

青春社の「図説 歴史で読み解く 京都の地理」の中では、東山三十六峰を北から南まで以下のように列挙しています。

  1. 比叡山
  2. 御生山(みあれやま)
  3. 赤山(せきざん)
  4. 修学院山
  5. 葉山
  6. 一乗寺山
  7. 茶山
  8. 瓜生山(うりゅうやま)
  9. 北白川山
  10. 月待山
  11. 如意ヶ嶽(にょいがたけ)
  12. 吉田山
  13. 紫雲山(しうんざん)
  14. 善気山(ぜんきさん)
  15. 椿ヶ峰
  16. 若王子山(にゃくおうじやま)
  17. 南禅寺山
  18. 大日山
  19. 神明山
  20. 粟田山
  21. 華頂山(かちょうざん)
  22. 円山
  23. 長楽寺山
  24. 双林寺山
  25. 東大谷山
  26. 高台寺山
  27. 霊鷲山(れいしゅうざん)
  28. 鳥辺山(とりべやま)
  29. 清水山(きよみずやま)
  30. 清閑寺山
  31. 阿弥陀ヶ峰
  32. 今熊野山
  33. 泉山(せんざん)
  34. 恵日山(えにちやま)
  35. 光明峰(こうみょうほう)
  36. 稲荷山(いなりやま)

比叡山まで東山の峰に数えているのは強引な感じがしますが、左京区、東山区、伏見区にわたって確かに36の峰がありますね。

峰と寺社の関係

「図説 歴史で読み説く 京都の地理」では、東山の各峰には、それに対応する神社やお寺が西のふもとに存在すると解説されています。

ここでは、主なものを9つ紹介しておきます。

1.月待山と銀閣寺

第10峰の月待山と関連するのが銀閣寺です。

銀閣寺

銀閣寺

銀閣寺の拝観順路に従って進むと山の中に入っていき、境内を見下ろすことができます。

この山こそが月待山で、上の写真は月待山から撮影しました。

2.吉田山と吉田神社

第12峰と関連があるのが吉田神社です。

吉田神社

吉田神社

吉田神社の境内は、吉田山のふもとから山中にまで広がり、山の上には摂社も建っています。

貞観元年(859年)に藤原山陰が、春日神をこの地に勧請(かんじょう)したのが吉田神社の始まりです。

3.紫雲山と金戒光明寺

第13峰の紫雲山と関連するのが金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)です。

金戒光明寺

金戒光明寺

紫雲山は小高い丘といった感じで、そこに金戒光明寺は建っています。

金戒光明寺の山号は紫雲山です。

4.南禅寺山と南禅寺

第17峰の南禅寺山と関係があるのは、その名のとおり南禅寺です。

南禅寺

南禅寺

南禅寺は、南禅寺山のふともに建っています。

境内から三門などの建物越しに見る南禅寺山は、より雄大に見えます。

5.華頂山と知恩院

第21峰の華頂山と関係があるのが知恩院です。

知恩院

知恩院

知恩院の山号は華頂山です。

大きな三門をくぐると境内が広がり、その背後には華頂山がそびえています。

6.高台寺山と高台寺

第26峰の高台寺山は、その名のとおり高台寺と関係があります。

高台寺

高台寺

高台寺の伽藍は、高台寺山を登るように建っており、境内からは、京都市街を眺めることができます。

7.清水山と清水寺

第29峰の清水山と関係があるのが清水寺です。

清水寺

清水寺

清水寺の境内は、清水山の中にあります。

清水の舞台や奥の院からは京都市街を見下ろすことができます。

8.恵日山と東福寺

第34峰の恵日山と関係があるのが東福寺です。

東福寺

東福寺

恵日山は標高72メートルと丘のような低い山で、東福寺はこの山に建っています。

境内は東に向かって緩やかに上がっています。

9.稲荷山と伏見稲荷大社

第36峰の稲荷山と関係があるのが伏見稲荷大社です。

伏見稲荷大社

伏見稲荷大社

本殿などの主要な建物は稲荷山のふもとに建っています。

伏見稲荷大社の名物のひとつとされるお山めぐりは、標高233メートルの稲荷山をぐるっと一回りするもので、約2時間かかります。

京都市の東の方の観光名所は、東山三十六峰と関係するお寺や神社が多いので、その辺りに訪れる時は、峰と寺社の関係を意識しながら拝観すると違った楽しみ方ができるかもしれませんよ。