大国主が背負う大きな袋

「因幡の白兎」の神話で知られる大国主(おおくにぬし)を神さまとして祀っている神社が、京都にはいくつかあります。

神社によって、大国主神(おおくにぬしのかみ)や大国主命(おおくにぬしのみこと)と祭神名が若干変わりますが、同じ大国主です。

京都市東山区の八坂神社の境内に建つ大国主社の前には、大国主の像が置かれており、背中に大きな袋を背負っています。

八坂神社の大国主神

京阪電車の祇園四条駅から東に約5分歩くと、一段高い場所に八坂神社の西楼門が現れます。

ここから境内に入り参道を進んでいくと、石段上の左手に大国主社があり、その前に因幡の白兎に手を差し出す大国主神が立っています。

八坂神社の大国主神

八坂神社の大国主神

左肩から大きな袋を背負った姿は、大国主の基本姿勢。

たくさんの荷物を持って諸国漫遊の旅に出発する姿。

そう考えたとしても、あながち間違いではありません。

大国主には、八十神(やそがみ)と呼ばれるほどたくさんの兄弟がいました。

ある時、兄弟たちは、因幡の国に八上比売(やがみひめ)という美しい女神がいることを知る。

彼らは、八上比売を自分の妻にしようと因幡の国に向けて出発。

そして、大国主もその旅に付いて行きました。

大国主は性格がお人よし。

一方、兄弟たちは皆、腹黒い性格。

そんなこともあり、兄弟たちは荷物を次々に大国主に持たせ、自分たちは手ぶらで旅に出ました。

大国主が背負っている大きな袋には、兄弟たちの荷物がいっぱい入っているんですね。

清水寺の境内に建つ地主神社にも、大国主命が立っていますが、同じように左肩に袋を背負っています。

地主神社の大国主命

地主神社の大国主命

そして、隣では因幡の白兎も立ち上がった姿で参拝者をお出迎え。

大国主と因幡の白兎はセットになっていることが多いですが、これも求婚の旅と関係があります。

白兎は、ワニザメを騙したことで恨みを買い、皮をはがされてしまいました。

赤くひりひりする体を横たえていた白兎。

すると、そこに旅の一行が通りかかります。

白兎が助けを求めたところ、意地悪な兄弟たちは、海水を浴びて小高い丘の上で風に当たって寝ていれば自然に治るとウソの治療法を教えました。

白兎はそれを信じてやってみると、皮膚がひび割れし、さらに痛みが強くなります。

そこへ、大国主が遅れてやってきました。

白兎が事情を説明すると、大国主は、真水で体を洗い、蒲(がま)の穂綿にくるまれば治ると教えます。

その通りにした白兎は、みるみる回復し、元の体に戻りました。

感謝した白兎は、八上比売は意地悪な八十神と結婚せず、やさしい大国主と結婚すると予言し、実際に大国主は八上比売を妻にすることができました。

大黒天と融合

室町時代から江戸時代にかけて、大黒天信仰が全国に広まりました。

地方に根付いていた大国主命信仰を上手に使ったのが、大黒天信仰が広まった理由と考えられています。

すなわち、大黒と大国(だいこく)の音が一致していることから、大黒天と大国主は同じ神さまだと宣伝したことで、大国主命を信仰する人々を信者としていったのです。

京都市東山区の新日吉神宮(いまひえじんぐう)の本殿には、大己貴命(おおなむちのみこと)が祀られていますが、この神さまは、大国主命の別称です。

本殿の前には、祭神が大国主命と同じであることを示すかのように大黒天の像が置かれています。

新日吉神宮の大黒天

新日吉神宮の大黒天

大黒天も、左肩に大きな袋を背負っており、もしかすると、これも大国主と大黒天が融合したことと関係しているのかもしれません。

なお、八坂神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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