大黒天は、左肩に財宝が入った袋を背負い、右手には富をもたらす小槌を持ち、足で米俵を押しています。
その姿から、福徳財宝、出世開運、五穀豊穣、商売繁盛など、人々に豊かな恵みを与えてくれる神さまとして信仰されています。
大黒天は、全国各地に祀られていますが、京都市内でもお参りできるところがいくつかあります。
今回の記事では、私が参拝したことがある京都市内に祀られている大黒天を紹介します。
妙円寺
京都市左京区の松ヶ崎に建つ妙円寺は、最澄作と伝えられている大黒天を本尊として祀っており、松ヶ崎大黒天の通称で親しまれています。
昭和44年(1969年)に妙円寺は火災に遭いましたが、本尊の大黒天は無事だったことから、「火中の大黒さま」と呼ばれるようになり、さらに福運の神さまとして崇敬されるようになりました。
また、本堂の前にいらっしゃるなで大国をなでて体の悪いところなどをさすって祈願するとご利益を授かれると伝えられています。
なお、松ヶ崎大黒天は、都七福神めぐり、京洛七福神めぐり、京都七福神めぐり、京の七福神めぐりの大黒天にもなっています。
三秀院
京都市右京区嵯峨の天龍寺の塔頭(たっちゅう)である三秀院は、天龍寺七福神めぐりの大黒天になっています。
お堂が東向きに建っていることから、東向大黒天の通称で親しまれています。
節分の日に天龍寺七福神めぐりが行われるので、この時に参拝すると、大いに福徳財宝のご利益を授かれそうですね。
圓徳院
京都市東山区のねねの道沿いに建つ圓徳院には、三面大黒天が祀られています。
三面大黒天は、福の神である大黒天、勝利あるいは子宝の神である毘沙門天、芸術の神である弁財天の三天が合体した珍しい大黒さまです。
豊臣秀吉が念持仏としたとされており、彼の出世守本尊だったと伝えられています。
毎月3日が縁日です。
雲龍院
京都市東山区の泉涌寺(せんにゅうじ)の塔頭である雲龍院には、走り大黒天と呼ばれる大黒さまが台所に祀られています。
その姿は、俵に乗った長者の大黒さまではなく、かつての戦神・台所神の面影を残す大きな袋を背負ったわらじ履きです。
ちょっと怖い顔をしていますが、きっと福をもたらしてくれることでしょう。
なお、雲龍院は、泉山七福神めぐりの大黒天になっています。
平等寺
京都市下京区の四条烏丸のビジネス街近くに建つ平等寺は、因幡薬師と呼ばれる薬師如来が有名ですが、大黒天も祀っています。
平等寺の大黒さまは、忿怒形三面六臂大黒天(ふんぬけいさんめんろっぴだいこくてん)と呼ばれており、とても怖いお顔をしています。
それでも、福を授けてくれる大黒さまですから、しっかりお参りをして福を呼び込みたいですね。
なお、平等寺は、京都六大黒天霊場の第五番札所です。
東寺
京都市南区の五重塔で有名な東寺には、御影堂(みえいどう)の西側の大黒堂に三面大黒天が祀られています。
圓徳院と同じく、毘沙門天と弁財天が合体した三面大黒天は、我々の誓願をことごとく成満し、お救いいただけると伝えられています。
三面大黒天と御縁を結べば、無上の大功徳の霊験を授かれるのだとか。
御影堂では、お札も授かれますよ。
大黒寺
京都市伏見区の大黒寺は、その名からもわかるように大黒天を本尊として祀っています。
もとは長福寺という名だったのですが、元和元年(1615年)に薩摩藩主の島津義弘の守り本尊の出世大黒天にちなみ、薩摩藩の祈祷所として大黒天を本尊とし、寺名を大黒寺と改めました。
本尊の大黒さまは、金張の厨子の中にいらっしゃり、甲子の年にだけ開帳される秘仏です。
なお、大黒寺は、京都六大黒天霊場の第六番札所です。
正法寺
京都市西京区の大原野に建つ正法寺には、走り大黒天と呼ばれる大黒さまが祀られています。
走り大黒天は、一刻でも早く福を授けに来ようと、走っている姿をされているのだとか。
正法寺の走り大黒天にお参りをすると、すぐにご利益を授かれそうですね。
なお、正法寺は、京都六大黒天霊場の第三番札所です。
以上が、私がお参りしたことがある京都市内でも有名な大黒さまです。
大黒さまは、他のお寺や神社にも祀られていますから、京都観光の際に大黒さまを祀っている寺社を訪れた時は、福を授かれるように祈願しておきたいですね。