名刀の髭切と膝丸ゆかりの相槌神社

京都府八幡市の男山の東のふもとに相槌神社(あいつちじんじゃ)が建っています。

社殿は小さく、男山に鎮座する石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)の末社のように思えますが、独立した神社です。

建っている場所が人目に付きにくいので、参拝する人は少なくあまり知られていませんが、名刀の髭切と膝丸ゆかりの神社なので歴史的に興味深いものがあります。

大原五郎太夫安綱が刀剣を鍛造した地

京阪電車の石清水八幡宮駅を出て南に少し歩くと、石清水八幡宮の駐車場があります。

その駐車場の中を南に歩くと、鳥居がありその奥が石清水八幡宮の表参道になっています。

表参道を50メートルほど南に歩くと、下りの石段があり、そこを下りると相槌神社が建っています。

相槌神社

相槌神社

相槌神社の説明書によると、当社の創建年代は不明とのことですが、1000年以上の歴史はあるようです。

八幡五水として知られる井戸の山ノ井のそばに建てられた刀剣に関係の深い神社です。

相槌神社の伝承や江戸時代の記録では、平安時代に活躍した有名な刀鍛冶の大原五郎太夫安綱(伯耆安綱)が、山ノ井の水を使って刀を鍛造していた時、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)が来て交互に槌を打つ相槌をしたため、当地に祀ったとされています。

そして、その時に造られた刀は、源氏に伝えられている髭切と膝丸だったといわれています。

現在、髭切は上京区の北野天満宮、膝丸は右京区の大覚寺に保管されています。

また、大原五郎太夫安綱は、現在国宝に指定されている童子切安綱を作ったことでも知られています。

私は、以前に北野天満宮で髭切を拝観したことがありますよ。

それでは、本殿にお参りをしましょう。

宇迦之御魂神は、お稲荷さんのことですから、商売繁盛をお願いしておきましょう。

社殿の前には、ここが山ノ井戸だと記す石碑が立っています。

山ノ井戸の石碑

山ノ井戸の石碑

そして、石碑の隣に井戸があります。

井戸

井戸

これが山ノ井戸のようです。

山ノ井は、江戸時代に井筒などが整備され、神社の銘板には平安時代の著名な刀工の三条小鍛冶宗近(さんじょうこかじむねちか)の名も加えられたそうです。

本殿の南側には、小さな祠もあります。

小さな祠

小さな祠

相槌神社は、江戸時代中期の1710年頃までは石清水八幡宮の管理下にありましたが、その神徳への信仰が非常に強かったことから、その後の時代は近隣住民が独自に神社の修繕を行ってきたことが、幕末の地誌『男山考古録』に書かれているそうです。

もとは石清水八幡宮の一部だったから、男山のふもとに相槌神社があるんですね。

石清水八幡宮の参道

石清水八幡宮の参道

刀剣に興味がある方は、石清水八幡宮に参拝した際は、ぜひ相槌神社にも参拝してください。