嵯峨野の石仏と羅漢

京都市右京区の嵯峨野には、念仏寺が2つあります。

ひとつは化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)で、もうひとつは愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)です。

どちらも名前が似ているだけでなく、建っている場所も近く、また、境内に石仏や羅漢がたくさんある点も共通しています。

化野念仏寺の石仏

化野念仏寺は、弘仁年間(810-824年)に空海が創建したお寺です。

当初は、真言宗でしたが、浄土宗の開祖である法然が念仏道場としたことから鎌倉時代初期に浄土宗に改宗しています。

また、本堂には、本尊の阿弥陀如来座像が祀られています。

化野念仏寺の本堂

化野念仏寺の本堂

境内には、たくさんの石仏が並んでいます。

石仏群

石仏群

これらの石仏は、山野に散乱していたもので、明治時代に地元の方が集めたそうです。

多くは、室町時代に造られたものだとか。

境内にある石仏、石塔は、なんと8,000体もあります。

圧巻なのは、下の写真に写っている西院(さい)の河原の石仏群です。

西院の河原

西院の河原

もともと化野は、鳥辺野(とりべの)、蓮台野(れんだいの)と並び京都の三大葬送地のひとつでした。

当初は風葬が行われていましたが、後に土葬となり石仏を奉るようになりました。

また、毎年8月23日、24日には千灯供養が行われ、多くの方が参加されます。千灯供養の模様については、「京都・フォト日記」さんのあだしの念仏寺・千灯供養の記事をご覧になってください。

愛宕念仏寺の千二百羅漢

もうひとつの念仏寺である愛宕念仏寺は、奈良時代に称徳天皇が現在の東山区に創建したお寺です。

平安時代に鴨川の氾濫で建物が流されてしまいましたが、天台宗の僧の千観内供(せんかんないぐ)が再興しています。

現在地に移ってきたのは大正時代です。

愛宕念仏寺の仁王門

愛宕念仏寺の仁王門

愛宕念仏寺の境内には、1,200体もの羅漢さんがいらっしゃいます。

羅漢群

羅漢群

これらの羅漢は、一般参拝者によって彫られたもので、その姿は、どれも異なっています。

中には、ネコをバンザイさせているものもあり、見ているだけで心が和やかになってきます。

ネコをバンザイさせる羅漢

ネコをバンザイさせる羅漢

こちらは逆に威圧感抜群の石仏群です。

迫りくる羅漢たち

迫りくる羅漢たち

しかし、よく見ると、どの顔も表情は穏やかですね。

化野念仏寺も愛宕念仏寺も名前が似ていて間違えやすいですが、一度訪れれば、その違いが分かりますよ。

とは言え、しばらくすると、どっちがどっちなのか分からなくなってしまいそうですが。