鎌倉時代の次に登場する行列は、藤原時代です。
藤原時代と聞いてもピンとこない方もいらっしゃるでしょう。
藤原時代は、平安時代中期以降の藤原摂関家が政治を担っていた時代です。藤原道長や頼通の時代がイメージしやすいですね。
藤原公卿参朝列
藤原時代の最初は、藤原公卿参朝列です。
平安貴族の装束を着た男性の行列が目の前を進んでいきます。
馬にまたがった貴族の姿もありますね。
京都と言えば、平安時代の雅なイメージを思い浮かべる方も多いと思います。
そういった方にとって、この藤原公卿参朝列は、最も京都らしさを感じることができるのではないでしょうか。
平安貴族の行列を撮影しましたが、全体を撮ろうとしたせいで、行列が小人の群れのようになってしまいました。
平安時代婦人列
藤原公卿参朝列の次に登場する平安時代婦人列は、時代祭の中で、最も華やかといえるかもしれません。
まずは勇ましい姿の巴御前の登場です。
巴御前は、平家の都落ちの後に上洛した木曽義仲の妻です。
木曽義仲は、粗暴な性格だったため、後に後白河法皇から遠ざけられ、追討の命を受けた源頼朝の弟の義経に討ち取られてしまいます。
その後、巴御前は出家したと伝えられていますが、詳細は不明です。
巴御前の次は、彼女と同時代の女性の横笛が続きます。
横笛は、平清盛の娘の建礼門院徳子に仕えた女性で、平重盛に仕えた滝口時頼と恋に落ちましたが、時頼が出家して滝口入道となったため、その思いを遂げることができませんでした。
時代祭の横笛は、嵯峨に滝口入道を訪ねた時の姿だそうです。
2人の子供とともに登場したのは、常盤御前です。
常盤御前は、源義朝の妻です。
義朝が平治の乱で敗れた後、常盤御前は3人の子供を連れて、平清盛の館に出頭し、子供の命を助けて欲しいと懇願します。その甲斐あって、今若、乙若、牛若は命を助けられます。
写真には、今若と乙若だけが写っていますが、常盤御前の胸に牛若が抱かれていることになっています。
輿に乗って登場する2人の女性は紫式部と清少納言です。
同時代に活躍した女性作家の2人は、仲が良くなかったと伝えられていますが、時代祭では仲良く同じ輿に乗っていますね。
紀貫之の女(むすめ)は、梅の枝を持って登場します。
衣装は、平安時代前期のものです。
絶世の美女として有名な小野小町は、少し変わった衣装で登場します。
下の写真に写っているのは、京都御苑の西隣に建つ護王神社に祭神として祀られている和気広虫(わけのひろむし)です。
広虫が活躍した時代は奈良時代なのですが、藤原時代に登場しています。
彼女は、孤児の養育に力を入れたことで知られています。
平安時代婦人列の最後は、百済王明信(くだらおうみょうしん)です。
彼女は、平安京の造営に尽力したと伝えられています。
輿に乗って登場するということは、平安京にとって重要な人物だったのでしょうね。
藤原時代の行列は、貴族が活躍した時代というだけあって、本当に雅でしたよ。
時代祭を観覧するなら、藤原時代の行列はしっかりと見ておきたいですね。
この後は、延暦時代へと続きます。