毎年4月29日と11月3日に京都市伏見区の城南宮で、曲水の宴が行われます。
曲水の宴は、神苑内の平安の庭で行われる行事で、平安装束を身にまとった参演者達が、歌を詠んだり、舞ったりします。
その姿や振る舞いの優雅さは、京都らしい風情を感じさせてくれます。
というわけで、11月3日に曲水の宴を観てきましたので、今回はその模様をお伝えしたいと思います。
見事な白拍子の舞
曲水の宴は、午後2時から行われるのですが、30分ほど前から琴の演奏が始まります。
琴の音色がなんとも雅で、聞いていると平安時代へと時間が遡って行くような感覚になります。
琴の音色を聴いている間、司会の方が城南宮の歴史などを解説。
そして、午後2時になると参演者たちが、一列になって平安の庭へと入ってきます。
庭の南側で一同整列。
この時に本日の歌題が発表されます。
歌を詠む歌人たちは、この瞬間まで歌題を知らされません。
歌題を拝見した歌人たちは、遣水(やりみず)の側に着座するために移動を開始します。
そして、水辺に着座して歌を詠む準備を始めます。
歌人たちが、歌を詠む前に白拍子が登場。
白拍子は、平安時代の踊り子で、平清盛に仕えた祇王や源義経の妻の静御前がその代表です。
登場した白拍子が優雅に舞います。
その華麗さに心を奪われそうになりますね。
和歌朗詠
白拍子の舞が終わると、いよいよ和歌の朗詠です。
まず、2人の童子が盃に酒を満たし、それを羽觴(うしょう)に乗せて遣水に流します。
羽觴とは、鳥の形をした舟のようなもので、遣水を流れて行って歌人たちに杯を届けます。
下の写真の円で囲んだ部分に写っているのが羽觴です。と言っても、小さすぎてよくわかりませんよね。
なので、拡大してみました。
歌人たちは、最初に流れてくる杯を見過ごし、和歌を短冊にしたためます。
次に流れてくる羽觴から杯を取り、お酒を飲み干します。
そして、童子が歌人たちから短冊を回収して正面へと持っていきます。
正面に持って行かれた短冊にしたためられた和歌は、朗詠者によって詠まれます。
歌人たちがしたためた和歌が、順番に朗詠者の伸びやかな声にのって、平安の庭全体に響き渡ります。
次々と和歌が朗詠される中、途中で報道陣の撮影のために時間がさかれます。
映像を通して、多くの方に曲水の宴を楽しんでもらおうという計らいだそうです。
最後まで和歌が朗詠された後、朗詠者達が下がります。
そして、次に歌人たちも最初に整列した場所へと戻ります。
一同が整列した後、平安の庭から参演者たちが退場して、曲水の宴は終了です。
この後、平安の庭で、希望者は人形(ひとがた)流しを行うことができます。
また、曲水の宴当日は、神苑が無料で拝観できます。
こういった行事に参加するとお得に観光ができるのでおすすめですよ。
なお、城南宮の詳細については以下のページを参考にしてみてください。