京都市東山区の清水寺の仁王門前は、いつも大勢の参拝者で賑わっています。
仁王門をくぐって清水の舞台に向かう人もいれば、仁王門前のお店でお土産を買う人など、とにかく人が多いですね。
その仁王門の北側にあまり注目されないお堂があります。
このお堂は、地蔵院善光寺堂といいます。
鎌倉時代の如意輪観音を祀る
こちらが、地蔵院善光寺堂です。

地蔵院善光寺堂
清水寺にあるお堂は、立派なものが多いですが、地蔵院善光寺堂は、小さなお寺の本堂といった感じです。
清水寺の説明書によると、16世紀中頃に描かれた清水寺古図「清水寺参詣まんだら」にこの場所に六地蔵の石仏が安置され、小堂が建っているのが見られるそうです。
そして、奥の院の南庭には、長野善光寺の本尊を勧請(かんじょう)した善光寺如来堂と思われるお堂も見られるとのこと。
以来、観音信仰の盛業によって地蔵院に鎌倉時代作の如意輪観音が祀られ、洛陽三十三所観音霊場の第10番札所となり、洛中洛外の尊拝を博したそうです。
ちなみに清水寺には、洛陽三十三所観音霊場の第11番札所の奥の院、第12番札所の本堂、第13番札所の朝倉堂、第14番札所の子安塔(こやすのとう)もあります。
その後、明治中期の境内整理によって善光寺如来堂を合併し、善光寺堂と称するようになり、昭和59年(1984年)に現在のお堂に改築されました。
お堂の中には入れませんが、外から如意輪観音坐像を拝むことができます。
如意輪観音坐像の向かって右には善光寺阿弥陀仏三尊像、左には地蔵菩薩立像も安置されていますよ。
首を回して願い事を祈願する首振地蔵
地蔵院善光寺堂の右前にも小さな祠があり、お地蔵さまが祀られています。
こちらのお地蔵さまは、首振地蔵(くびふりじぞう)と呼ばれ、清水寺の七不思議の一つに数えられています。

首振地蔵
この首振地蔵は、首がくるくると回る珍しいお地蔵さまです。
願い事のある方向に首を回して拝めば願いが叶えられると伝えられており、江戸時代から庶民に深く信仰されてきたそうです。
首が回ることを知っていれば、清水寺に参拝した際に首振地蔵の首を回してお参りをすると思うのですが、地蔵院善光寺堂に参拝する人が少ないことから、首振地蔵の首が回ることは、あまり知られていないのでしょうね。
有名になると、首を回され過ぎて壊れるかもしれませんから、今のまま、お参りする人が少ない方が良いのかもしれませんが。
なお、清水寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。