落語発祥の地・誓願寺

京都市中京区の新京極通は、お土産屋さんが多いことで知られていますが、お寺が多いことでも有名です。

その新京極通のちょうど真ん中辺りに誓願寺というお寺が建っています。

お寺の中には、大きな金色の阿弥陀如来像が安置されており、普段、誰でも拝むことができます。

なので、誓願寺という名は知らなくても、金色の像が安置されているお寺と聞けば、ピンと来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

安楽庵策伝

誓願寺は、金色の阿弥陀如来像が有名ですが、実は落語発祥のお寺としても知られています。

誓願寺は、天智天皇の勅願所として奈良に創建されたのが始まりで、その後、上京区の元誓願寺通に移転しました。

現在地に定まったのは、豊臣秀吉の京都改造の時です。

誓願寺

誓願寺

新京極通に移ってきて、しばらく経った慶長18年(1613年)に安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)というお坊さんが、誓願寺第55世になりました。

策伝は、「希世の咄上手(はなしじょうず)」と言われた人物で、落語の祖とされています。

策伝が著した醒睡笑(せいすいしょう)には、1,000もの笑い話が収録されており、長年、落語の種本として使用されたそうです。

落語が古くから親しまれてきたということは何となく知っていましたが、江戸時代初期にできたものとは知りませんでした。

おそらく、落語家の方は、誓願寺にお参りされていることでしょう。

また、人前で話をする仕事をされている方もお参りされているのではないでしょうか。

誓願寺の境内には、扇塚と呼ばれる塚もあります。

扇塚

扇塚

世阿弥の作と伝えられている謡曲の「誓願寺」は、和泉式部と一遍上人が登場し、誓願寺の縁起と霊験を物語ります。

このように誓願寺が、謡曲に登場することから、扇塚に芸道上達を祈願して扇子を奉納するとご利益があると伝えられています。

また、先ほど紹介した落語の祖の安楽庵策伝が誓願寺第55世だったことからも、扇子と深い関係があるそうです。

芸能関係の仕事、特に落語と関係のある仕事をされている方は、誓願寺に訪れてみてはいかがでしょうか。

なお、新京極には、誓願寺の他にも小さなお寺や神社がたくさんありますので、誓願寺と一緒にお参りすると良いですよ。

以下の過去記事で、新京極通にある神社やお寺を簡単に紹介していますので、ご覧になってみてください。

また、誓願寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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