8月7日。
京都市東山区の六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)に参拝しました。
京都では、毎年、盂蘭盆(うらぼん)の時期に先祖の霊を迎える「お精霊迎え(おしょうりょうむかえ)」の行事が各家で行われます。
六道珍皇寺でも、8月7日から10日まで、六道まいりと呼ばれるお精霊迎えの行事が行われ、朝から夜まで多くの方がお参りに訪れます。
夕方の六道珍皇寺
六道珍皇寺は、京阪電車の清水五条駅から北東に10分ほど歩いた辺りに建っています。
市バスだと「清水道」で下車して西に徒歩約3分です。
松原通の緩やかな坂道に面して朱色の山門が開いています。
山門の前には、「六道の辻」と刻まれた石碑が置かれています。
六道の辻とは、この世とあの世の境目のことです。
六道珍皇寺は、あの世の入り口に建っているんですね。
山門わきには、京の七夕のポールも立っていました。
六道珍皇寺は、毎年、旧暦の七夕に合わせて8月に行われる京の七夕の協賛寺院になっています。
時刻は午後6時30分。
空が少しずつ暗くなってきています。
山門をくぐるとテントがあります。
六道まいりは、まず、このテントで高野槇を購入するところから始まります。
高野槇は、六道珍皇寺周辺のお店でも置いていますよ。
高野槇を購入した後は、参道をまっすぐ進み、奥に建つ本堂へ。
本堂では、水塔婆(みずとうば)に迎える先祖の戒名または俗名を書いてもらいます。
その後は、境内のやや東に建つ鐘楼で迎え鐘を撞きます。
迎え鐘を撞くための列は、道路まで続いており、私が参拝した時には50人くらいの列ができていましたよ。
迎え鐘は、紐を手前に引っ張って撞きます。
参拝者は、ゴーン、ゴーンと鐘を2回撞いた後、鐘楼にお参りをします。
迎え鐘を撞いた後は、本堂の薬師如来にお参りをし、先祖の精霊が無事に我が家に戻ってくれるようお願いをします。
ちなみに京都では、精霊のことを「おしょらいさん」と呼びます。
本堂に参拝後は、近くの線香場で水塔婆を線香の煙で浄めます。
線香で浄めた水塔婆は、境内の西にある地蔵堂前の賽(さい)の河原と呼ばれる場所で、水向け用桶に納めます。
そして、高野槇の穂先で水塔婆を湿らせる水回向(みずえこう)を行います。
これで六道まいりは終了です。
高野槇は、精霊が宿る依代(よりしろ)とされているので、持ち帰って、お盆の期間中は精霊棚または仏壇に盆花とともに飾ります。
また、水塔婆は郡霊塔へ移され、お盆の期間中日々供養が行われた後、8月17日午前11時からの大施餓鬼法要で水塔婆の総供養が行われ、焚き上げられます。
精霊は、五山の送り火で冥界へと旅立ち、その旅路での無事祈願がなされるのだとか。
鐘楼の少し南に建つお堂は、普段は閉じられているのですが、六道まいりの期間は戸が開いており、中に安置されている小野篁(おののたかむら)と閻魔大王の像を拝むことができます。
小野篁は、六道珍皇寺に残る井戸から冥界の閻魔大王のもとに行っていたと伝えられていますね。
午後7時前に六道珍皇寺から出ました。
松原通には、「六道まいり」の案内が出ています。
五条通にやってくると、五条坂の陶器市が催されていました。
陶器市も、六道まいりと同じ8月7日から10日まで行われています。
海外からお越しの方が、お皿や丼を購入されていましたよ。
六道まいりの期間、六道珍皇寺は午前6時から午後10時までお参りできます。
陶器市にお越しの際は、六道珍皇寺にも足を運んでください。
なお、六道珍皇寺の詳細は以下のページを参考にしてみてください。