清水坂にひっそりと建つ経書堂は聖徳太子ゆかりのお寺

京都市東山区の清水寺に行くには、清水坂を東に上っていくことになります。

清水坂の南にある五条坂を上って行っても、途中で清水坂に合流します。

清水坂と五条坂が合流する付近には、北へと続く産寧坂もあり、いつも多くの旅行者や観光客の方で賑わっています。

その清水坂、五条坂、産寧坂の合流地点には、経書堂(きょうかくどう)と呼ばれる小さなお堂が建っているのですが、あまり注目されることがないですね。

正式には来迎院というお寺

経書堂には、市バス停「清水道」から清水坂を東に約10分歩くと到着します。

下の写真に写っているのが、経書堂です。

経書堂

経書堂

近くには、人がたくさんいるのに経書堂の狭い敷地内には誰もいません。

経書堂は、正式には来迎院(らいごういん)という名で、清水寺の境外塔頭(たっちゅう)です。

今は、小さなお堂が建つだけですが、創建は聖徳太子と伝えられているので、平安遷都(794年)よりも前からこの地にあったことになります。

経書堂は、聖徳太子の写経所跡とも伝えられており、本尊として祀られているのは、聖徳太子が自ら彫った16歳の時の太子像といわれています。

経書堂の名の由来

ところで、なぜ、来迎院は経書堂と呼ばれるようになったのでしょうか。

それは江戸時代のこと。

経書堂の僧が、石や経木に法華経や大乗経を書き、死者に手向ける習俗がありました。

参詣者は、一石に一字を書き、仏縁を結んだことから、経書堂の名がついたとされています。

15世紀に作成された「酒屋交名」や「酒屋請文(うけぶみ)」といった史料には、経書堂付近に酒屋が軒を連ねていたと書かれています。

現在の経書堂から清水寺に向かうまでの間には、京都のお土産物屋さんがたくさん並でいます。

清水坂

清水坂

人も多く、のんびりとお酒を飲んでいられるような雰囲気ではないですね。

清水坂を上った先には、有名な清水寺の入り口があります。

清水寺の仁王門

清水寺の仁王門

入り口には、清水寺の七不思議の一つである仁王門が建っており、初めて清水寺を訪れた方は、ここで記念撮影をすることが多いですね。

清水坂を上る人は、清水寺を訪れるのが目的であることが多く、経書堂に目を向けることがほとんどありません。

経書堂は、小さなお寺ですが、清水寺よりも長い歴史を持っているので、ちょっとだけでも立ち寄っていきたいですね。

清水寺の参拝の前か後にぜひ経書堂にもお参りをしてください。

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