京都市右京区の世界遺産に登録されている龍安寺(りょうあんじ)は、虎の子渡しの庭と呼ばれる枯山水庭園で有名です。
多くの拝観者の方は、これを見ることが目的なのですが、実際に庭園を見て、想像していたよりも小さいと思うのではないでしょうか。
それでも、お目当ての石庭を見ることができたからか、満足げな表情で建物から出てますので、庭園鑑賞を満喫されてるんでしょうね。
でも、龍安寺に来て、石庭だけを見て帰るのはもったいないです。
石庭の反対側の庭には、水戸光圀が寄進した蹲踞(つくばい)があるので、これも見ておきたいですね。
蹲踞の四方に書かれた4文字
下の写真に写っているのが、その蹲踞です。
この蹲踞は、模型なので実際に水戸光圀が寄進したものではありません。
でも、実物大で造られたものなので、本物と同じような趣になっているはずです。
蹲踞を拡大すると、真ん中の大きな四角の上下左右に1文字ずつ字が書かれているのがわかります。
四角の上に書かれているのは「五」の文字。
下には、「疋」の字の下側の部分が書かれています。
そして、左には「矢」、右には進の右半分が書かれています。
これら4つの文字は、そのままでは読むことができません。でも、真ん中にある四角の穴を「口」と見れば、全ての文字が意味を成します。
上に書かれた「五」の下に「口」をくっつけると「吾」という字になります。
下の「疋」の字の下側の部分の上に「口」をくっつけると「足」という字になります。
同様に左の字に「口」を付ければ「知」になりますし、右の字に「口」を付ければ「唯」という字になります。
これら完成した4文字を時計回りにつなげると「吾唯足知」となり、「吾れ、唯足ることを知る」と読むことができます。
知足の者は賤しといえども富めり
不知足の者は富めりといえども賤し
これは禅の神髄であり、茶道の精神にも通じるものです。龍安寺の説明書には、「真の平和の精神」と書かれています。
上の言葉の意味は、「満たされていることを知っている人は貧しくても心は満ち足りているけど、満たされていることを知らない人は裕福でも心は貧しい」といったところでしょうか。
なかなか奥の深い言葉ですね。
この言葉を追求していけば、現在生かされていることに満足し、際限なく欲求を満たそうとすることに歯止めをかけることができそうです。
「真の平和の精神」が少しだけわかったような気がしますね。
なお、龍安寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。