都を守る4つの大将軍社

平安京は、現在の二条城付近に造営されました。

この地が選ばれたのは、北に山、東に川、西に道、南に湖がある四神相応(しじんそうおう)の地だったからです。

四神とは、四方を守る神のことで、北は玄武、東は青龍、西は白虎、南は朱雀という神がそれぞれの方角の守護神とされています。

これを平安京に当てはめると、北は船岡山、東は鴨川、西は山陰道、南は巨椋池(おぐらいけ)となります。

このように平安京は、四神に守られた縁起の良い場所だったのです。

さらに桓武天皇は、平安遷都の際、奈良春日大社から方位を司る大将軍という神を勧請(かんじょう)し、都を守る方除の神として四方に祀りました。

これが大将軍社で、現在も京都市内の4箇所に残っています。

北の守護神は今宮神社境内に建つ大将軍社

都の北に祀られた大将軍社は、現在、京都市北区の今宮神社境内の西側にあります。

今宮神社の大将軍社

今宮神社の大将軍社

元々、この大将軍社は、今宮神社の近くに建つ大徳寺門前に祀られていたそうです。

もっと大きな社を想像していたのですが、実物は非常に小さかったです。

石柱には、紫野大将軍と刻まれていました。

西の守護神は大将軍八神社

都の西を守る大将軍社は、今宮神社から2kmほど南に行ったあたりに建つ大将軍八神社です。

大将軍八神社

大将軍八神社

当初は、大将軍堂と称していましたが、江戸時代に大将軍社と改められ、その後、現社名の大将軍八神社となりました。

神社の説明書によると、大将軍八神社には、平安時代に造られたと考えられる神像が100体以上保管されており、そのうち、武神像、束帯像、童子像合わせて80体が重要文化財に指定されているそうです。

東を守る大将軍神社

東を守る大将軍社は、地下鉄東山駅から徒歩3分ほどの場所に建つ大将軍神社です。

大将軍神社

大将軍神社

この神社は、4つの大将軍社の中で、一番広いですね。

境内には、樹齢800年と伝えられているイチョウの木があります。

大将軍神社については、以下の過去記事で紹介したことがありますので、ご覧になってください。

南を守る大将軍社は藤森神社の境内にある

最後は南を守る大将軍社ですが、こちらは、京都市伏見区の藤森神社(ふじのもりじんじゃ)の境内に建っています。

藤森神社の大将軍社

藤森神社の大将軍社

建っている場所は、本殿の左奥。

今宮神社の大将軍社よりは大きいですが、それでも小粒な印象を受けます。

しかし、社殿は小さいですが、永享10年(1438年)に足利義教によって寄進された由緒ある建物で、しかも、重要文化財に指定されています。

4つの大将軍社の位置

以上、都を守護する4つの大将軍社を紹介しました。

都の四方を守っているということは、大内裏を中心に置いて、東西南北に等間隔で配置され、線で結ぶとダイヤモンド型になるのかと思ったのですが、地図で位置を確かめると全くそのような形にはなりません。

4つの大将軍社は、都の北西に今宮神社と大将軍八神社が縦に並ぶように建ち、南東に大将軍神社と藤森神社が縦に並ぶように建っています。

これらを線で結ぶと、右下がりの平行四辺形のような形になります。

大内裏と4つの大将軍社の位置関係

大内裏と4つの大将軍社の位置関係

少し変な位置関係ですが、大内裏を囲むように4つの大将軍社が建っているので、しっかりと方除の守護神としての役割を果たしていますね。

転居や旅行の予定がある方が、方除の神様である4つの大将軍社にお参りするとご利益を得られそうですね。