境内の散策と宝物の鑑賞ができる泉涌寺

JRと京阪電車の東福寺駅で降りる観光客の方の多くは、東福寺に向かいます。

駅名が東福寺なので、当然と言えば当然なのですが、この近くには、もう一つ訪れておきたいお寺があります。

それは、泉涌寺(せんにゅうじ)です。

総門からが長い泉涌寺

東福寺駅から東に向かって歩いて行くと東福寺と刻まれた石柱が現れますが、それを無視してさらに東に歩くと泉涌寺の参道に着きます。

この参道を歩いて行くと総門が現れます。

総門

総門

駅から総門までは約10分ほどです。

この総門をくぐるとすぐに泉涌寺の境内なのだろうと思ったのですが、実はここからが意外と長いのです。

総門から泉涌寺の入り口である大門までは500メートル以上もあります。

その途中には、即成院、戒光院などいくつかの塔頭(たっちゅう)寺院が建っています。これらの寺院にも立ち寄ったのですが、その内容については、別の機会に紹介したいと思います。

そして、大門に到着し、拝観料500円を納めて境内に入ることに。

大門

大門

心照殿で宝物を鑑賞

境内に入って最初に向かったのは、左手にある楊貴妃観音堂。

観音堂の手前には、前回の記事で紹介した楊貴妃桜が満開を迎えていました。

楊貴妃桜の近くには、宝物館の心照殿が建っています。

心照殿

心照殿

心照殿では、泉涌寺に伝わる宝物が公開展示されています。

もちろん、中に入って宝物を鑑賞してきました。

今回の展示のテーマは、第1展示室が「歴史の中の近世泉涌寺長老」、第2展示室が「法会と荘厳1-修正会-」です。

心照殿の中は撮影禁止なので、ここからは文章だけの説明になります。

第1展示室では、泉涌寺の発展に貢献した舜甫明韶(しゅんぽみょうしょう)長老や如周正専(にょしゅうしょうせん)長老が描かれた絵画が展示されていました。

他にも後陽成天皇など泉涌寺と所縁のある歴代天皇を描いた絵画や十二天図屏風もありました。

工芸品では、金色の密教法具を鑑賞できます。

一方の第2展示室では、多聞天像、五神像など諸天図が展示されていました。インド風の絵画で鮮やかな色使いが印象に残っています。

他にも厨子や書物を鑑賞することができました。

期間は、第1展示室が5月23日まで、第2展示室が8月22日までとなっていて、毎月第4月曜日が休館日です。

なので、泉涌寺を訪れるのは、上の期間中の第4月曜日以外の日がいいですね。

坂の下に建つ諸堂

心照殿で宝物を鑑賞した後は、いよいよ境内の散策です。

泉涌寺は、門をくぐるとすぐに下り坂になっています。

そのため、境内に入場してすぐの景色は、下の写真のように仏殿を見下ろすような感じです。

大門から見下ろした仏殿

大門から見下ろした仏殿

知恩院のように門をくぐって石段の上に境内が広がっているお寺はよく見かけるのですが、泉涌寺のように入場後下り坂となっているお寺は初めてだったので、新鮮な景色でした。

坂を下って、仏殿の近くまで来ると近代的な建造物は一切見えなくなります。

境内から眺めた山

境内から眺めた山

こういった景観を維持できるのは、坂の下に境内があるからなんでしょうね。

下の写真は、仏殿とその後ろの舎利殿を一緒に撮影したものです。

仏殿と舎利殿

仏殿と舎利殿

拝観券に印刷されている写真と同じ角度で撮影したのですが、空が曇っていたせいで少し暗めの写真となってしまいました。

仏殿の中は暗く、中央に運慶作と伝えられる阿弥陀、釈迦、弥勒の三尊仏が安置されています。

三尊仏の上の天井には、蟠龍図が描かれているのですが、暗くてよく見えませんでした。

三尊仏の後ろには、白衣観音像が描かれています。この絵は、ワンルームマンション1室分くらいの大きさがあり、どの角度からでも観音像と目が合うように描かれています。確かにどんなに端の方から見ても目が合いますね。

仏殿の右隣には、泉涌水屋形が建っています。

泉涌水屋形

泉涌水屋形

泉涌寺の名は、泉が涌きだしているお寺というのが由来で、鎌倉時代初期に名付けられたのですが、その泉は、泉涌水屋形の前から涌き続けていました。

舎利殿の後ろには本坊があります。

本坊

本坊

本坊の中に入り、300円を納めると御座所と庭園を拝観することができますが、今回はパス。

下の写真は、本坊の門の屋根です。

屋根から睨む鬼

屋根から睨む鬼

鬼が上から睨んでいますね。

本坊の中には、小ぢんまりとした庭があります。

本坊内の庭

本坊内の庭

この庭は、御座所庭園とは違います。なので、追加の拝観料を納めなくても観ることができます。

庭園の敷地内には休憩所があるので、自動販売機で飲み物を買ってゆっくりと鑑賞してもいいですね。

境内の東の端には霊明殿が建っています。

霊明殿

霊明殿

霊明殿は、明治17年(1881年)に明治天皇が再建したもので、天智天皇以来の歴代天皇の御尊牌が奉仕されています。

霊明殿の端に狭い道があり、その先を進むと東山三十六峰の第33峰の泉山(せんざん)を背にした月輪陵があります。

月輪陵

月輪陵

月輪陵は、四条天皇、後水尾天皇、明正天皇、後光明天皇、後西天皇などたくさんの歴代天皇や皇后の御陵です。

泉涌寺は、四条天皇が葬られて以降、皇室の菩提所として信仰を受けたことから、月輪陵には数え切れないほどの歴代天皇や皇后が葬られています。

そのため、泉涌寺は御寺(みてら)とも呼ばれています。

泉涌寺は、境内の散策ができて、しかも宝物も鑑賞できるので、結構お得なお寺ですね。

紅葉が有名なお寺でもあるので、次回はその時期に訪れてみたいと思います。

宿泊