下鴨神社の印納社は古くなったハンコを埋納してくれる

日本国内には、変わった願い事を叶えてくれたり、珍しいご利益を授けてくれたりする神さまを祀る神社がいくつもあります。

京都市左京区の下鴨神社の境内に建つ印納社(いんのうのやしろ/いんのうしゃ)も、そういった神社の一つ。

印はハンコのことですから、印納社は、古くなったハンコを納める社だということが、その名からわかるかと思います。

下鴨神社の説明書にも、「古印を納め御守護を仰ぐお社」と記されています。

公式の文書に使用した印章

京阪電車の出町柳駅から北西に約5分歩くと、下鴨神社の参道に到着します。

糺(ただす)の森の中にある参道をさらに北に約5分歩くと、楼門をくぐった先に舞殿、その奥に中門が建つ。

中門から西に向きを変えれば、境内の北西角に立つ鳥居が目に入ります。

北西の鳥居

北西の鳥居

鳥居を出ると西参道になり、50メートルほど歩くと右手に2つの社が見えてきます。

その内の東側に建っているのが、印納社です。

印納社

印納社

朱色の玉垣に囲まれているものの、社殿は控えめな造り。

下鴨神社の他の建物と比較すると小ぶりで外観も質素なので、あまり重要な社には見えません。

しかし、ハンコを扱う人たちにとっては大切な社でしょうから、そのように思うのは失礼というもの。

当社は、下鴨神社の末社で、本殿の西側に建つ印璽社(いんじしゃ/おしでのやしろ)の祭神を祀っています。

祭神は、印璽大神(おしでのおおかみ)と倉稲魂神(くらのいなたまのかみ)。

ちなみに本殿周辺は撮影禁止なので、印璽社の写真はありません。

一般的にハンコと呼ばれている印章は、中国から伝わり、大宝律令で公式の文書に使用することになったとされています。

かつては、宮内省鍛冶司(かねちのつかさ)によって作られ、勝手に制作することは禁じられていました。

そのため、誰もが印判を使えるわけではなかったのですが、時代が下るにつれ、武士が使用するなどして普及し、江戸時代には庶民も使うようになっていました。

そういったことから、京都では、江戸時代に印判師が誕生し、京印章もこの頃に発展していったそうです。

9月最終日曜日に催行される印章祈願祭

明治に入ると、さらに印章が広まります。

明治6年(1873年)10月1日に太政官布告により一般庶民が実印を使うことを認められたからです。

当然、この日を印章関係者が無視するわけはありません。

ということで、全日本印章業組合連合会により10月1日は印章の日と定められることに。

公益社団法人全日本印章業協会の以下のページによると、昭和55年(1980年)に京都府印章業協同組合の主催で、最初の印章祈願祭が下鴨神社で行われたそうです。

永年使った古印章が全国から集められ、印璽社で印章祈願祭が行われた後、印納社に奉納されます。

印章祈願祭は、平成24年(2012年)から公益社団法人全日本印章業協会の主催となり、毎年9月最終日曜日に催行されています。

古印章は、印章祈願祭当日に下鴨神社に持参するか、公益社団法人全日本印章業協会会員の印章店に持参すると、印納社に埋納してもらえるとのこと。

また、本殿隣の印璽社は、契約の神さまとして崇められており、大切な契約の時、物事を成功裏に結び付けたい時などに参拝する人が多いそうです。

現在、書類の電子化などで押印する機会が減ってきており、ハンコが不要になった方もいらっしゃることでしょう。

そのような方は、使わなくなったハンコを印章祈願祭で祈祷した後に印納社に埋納してもらってはいかがでしょうか。

なお、下鴨神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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