6月下旬に京都市右京区の龍安寺を拝観した後、きぬかけの道を西に約10分歩いて仁和寺(にんなじ)にやってきました。
仁和寺も龍安寺と同じく世界遺産に登録されている寺院です。
仁和寺は、春の御室桜(おむろざくら)が人気があり、その頃は多くの参拝者で境内が賑わいます。
でも、梅雨の時期は、旅行や観光で仁和寺を訪れる人は少なく、のんびりと境内を歩くことができます。
参道で咲くアジサイ
仁和寺は、市バス停「御室仁和寺」で下車してすぐです。
京福電車だと御室仁和寺駅から北に徒歩約3分ですね。
今回は、バス停から近い二王門ではなく、東門から境内に入りました。

東門
参道では、梅雨らしく西洋アジサイが水色の花をたくさん咲かせています。

西洋アジサイ
こちらはガクアジサイ。

ガクアジサイ
仁和寺のアジサイは、数は少な目ですが、どれも見ごろでしたよ。
仁和寺の伽藍
東門から参道を西に進み、途中で右折して北へ向かって歩きます。
そして、中門をくぐります。
中門をくぐった左側に御室桜がたくさん植えられています。

御室桜
御室桜は、開花時期が遅めで真っ白な花を咲かせます。
背があまり高くならないのも特徴的です。
参道を北に歩きます。

参道
両脇に植えられているカエデの葉は、上の方が日に焼けて赤くなってきていました。
境内の真北に建っているのは金堂です。

金堂
金堂は、仁和寺の本堂で中には本尊の阿弥陀三尊像や四天王像などが安置されています。
もとは内裏紫宸殿(だいりししんでん)だったのですが、寛永年間(1624-1644年)に仁和寺に移築されました。
どこか気品のある建物に見えますね。
それでは、金堂にお参りをしましょう。
仁和寺は、仁和4年(888年)に宇多天皇が完成させた寺院です。
宇多天皇は、退位後、出家して仁和寺を住房とし真言密教の修行に励まれました。
以来、明治維新まで皇族が仁和寺の門跡(もんぜき)となり、御室御所とも呼ばれ親しまれてきました。
金堂から少し西に建っている朱色の建物は鐘楼です。

鐘楼
鐘楼の近くには小さな祠があります。
この祠には、水掛不動尊が祀られています。

水掛不動尊
水掛不動尊は、堀川の一条戻橋が大洪水で流れ、その復旧の時に橋の下から取り出されました。
しかし、心ない人によるいたずらに遭い、仁和寺に帰りたいとのお告げがあったことから当寺に安置されました。
諸願成就、幼児の難病平癒に霊験あらたかということです。
今度は境内の東側にやってきました。
ここには、九所明神(くしょみょうじん)が祀られています。

九所明神
九所明神は、仁和寺の中でも重要な伽藍を守る社です。
現在の建物は、寛永18年(1641年)から正保元年(1644年)にかけて建立されたものです。
社殿は本殿、左殿(さでん)、右殿(うでん)に分かれています。
それぞれに祀られているのは以下のとおりです。
- 本殿=八幡三神
- 左殿=賀茂下上、日吉大明神、牛頭天王(ごずてんのう)、稲荷大明神
- 右殿=松尾大明神、平野大明神、小日吉大明神、木野嶋天神(このしまてんじん)
九所明神の南側には、仁和寺で最も目立つ五重塔が建っています。

五重塔
五重塔は寛永21年に建立されています。
屋根の幅が、どれもほぼ同じというのが特徴的です。
仁和寺の五重塔は、京都市内の4つの五重塔の中では、全体を見るのが最も難しいです。
その理由は、五重塔の周囲に多くの樹木が植えられているからです。

木々と五重塔
でも、そのおかげで仁和寺の五重塔は自然の中に建っているように見えるんですよね。
そのため、最も景観が美しい五重塔とも言えます。
仁和寺には、他に観音堂や御影堂(みえいどう)が建っています。
観音堂は、平成24年(2012年)から工事が行われています。
平成30年春に完成予定だったのですが、まだ工事は終わっていません。
年内には完成するそうです。
また、観音堂内に安置されていた千手観音菩薩立像など全33体は、福岡県太宰府市の九州国立博物館に運ばれ修理が行われました。
九州国立博物館では、2018年7月3日から9月2日まで、これら仏像が公開されます。
写真撮影もできるということですから、近くにお住まいの方やこの夏に九州旅行に出かける予定がある方は、九州国立博物館に足を運ぶと良いでしょう。
仁和寺でも、観音堂内は非公開ですから滅多に見ることができませんよ。
仁和寺の境内を歩いた後は、御殿と庭園を拝観しました。