お寺とは気づきにくい元真如堂

京都市左京区の吉田山の東に建つ真如堂は、観光客の方に割と人気があるお寺です。

真如堂は、以前から現在地にあったわけではなく、実は、今の場所よりも北東にありました。

その跡地は、現在、元真如堂と呼ばれています。

民家のようなお寺

元真如堂は、市バス「錦林車庫前」から西に5分ほど歩いた辺りにあります。

以前から、この辺りに元真如堂があるということは知っていたのですが、現地に訪れても、全く見当たらなかったんですよね。

なので、地図が間違っているのか、今は、道路わきに元真如堂と刻まれた小さな石碑が残っているだけなんだろうと勝手に思っていたわけです。

でも、ある時、真如堂に向かう途中に発見しました。

発見したと言っても、ただ自分が知らなかっただけなんですけどね。

下の写真に写っているのが、元真如堂の入口です。

入口

入口

以前から、このような門があることは知っていたのですが、参道や生垣の感じから、ここは民家に違いないと思って素通りしていたんですよね。

でも今回は、入口に立っている石柱に目が行き、そこに「元真如堂念仏堂旧跡」と刻まれているのが見えたので、ここが元真如堂だということがわかりました。

元真如堂は、真如堂の境外塔頭(たっちゅう)で換骨堂(かんこつどう)とも呼ばれています。

説明書によると、ここは、平安時代に一条天皇の母の東三条院の御所があった場所で、女院が夢告により、叡山常行堂の阿弥陀如来像を遷座し、戒算上人を開基として、正暦5年(994年)に真如堂を建立しました。

その後、真如堂は応仁の乱(1467年)で荒廃し、元禄6年(1693年)にここより西南に再建され、当地には、念仏堂と呼ばれる小さな堂宇だけが残されました。

それから140年ほど経った天保元年(1830年)に地震で荒廃しましたが、同13年に尼僧黙旨(もくじ)が尼僧寺院として再興し、以後、尼僧の住職を許されたということです。

境内に入ると、正面に念仏堂が建っています。

境内

境内

庭がきれいに整えられていますね。

建物と庭を見た感じだと、やはり、お寺というより民家といった感じ。

念仏堂には賽銭箱が置かれているので、これを見ると、お寺であることを実感しますね。

境内には、念仏堂と庭以外に特に見るものがなさそうですが、説明書によると、東三条院の供養塔があるそうです。

それがどこにあるのかわからなかったので、写真はありません。

境内の南に進むと、魔除のまさるくんがいる日吉神社の境内に入ります。

その途中には、滝不動明王が祀られており、これは後から調べると、日吉神社のものではなく、元真如堂のものであることがわかりました。

元真如堂にお参りをしたのは10分程度でした。

とは言え、今までどこにあるのかわからなかった元真如堂だったので、10分程度のお参りでも、すっきりとした気分になりましたよ。