近世京都の景観が残る産寧坂伝統的建造物群保存地区を歩いてみよう

京都市東山区の円山公園から南の産寧坂(さんねいざか/三年坂)までの範囲は、産寧坂伝統的建造物群保存地区に指定されています。

伝統的建造物群保存地区制度は、国としての町並み保存制度であり、中でも特に価値が高いものは重要伝統的建造物群保存地区に選定されます。

そして、産寧坂伝統的建造物群保存地区も、重要伝統的建造物群保存地区とされています。

漢字がたくさん並んでしまいましたが、要するに円山公園から産寧坂の一帯は、近世の京都の町並みが現在も残る魅力的な景観ということですね。

今回の記事では、産寧坂から円山公園まで写真とともに見ていきましょう。

産寧坂

清水寺の参詣道となっている清水坂の中腹から北に向かう下り坂が産寧坂です。

産寧坂の左右は、1階部分がお店になっている「むしこ造り町家」が多く軒を連ね、中を覗いていく観光客や旅行者をよく目にしますね。

産寧坂

産寧坂

産寧坂を北に進んでいくと、名士が住んでいそうな門と塀がある立派な町家も見られます。

また、足元はアスファルトではなく石畳となっているのも、昔ながらの京情緒を感じられます。

石畳は、産寧坂伝統的建造物群保存地区の大部分に敷かれているため、この辺りはただ歩ているだけで19世紀以前の景観を楽しめるのが良いところです。

八坂の塔

産寧坂をまっすぐ北に歩いていくと、途中で西に向きが変わり、少し道幅が狭くなります。

さらにそのまま進んでいくと、正面に法観寺の八坂の塔が見えてきます。

八坂の塔

八坂の塔

両脇の町家の間から見る八坂の塔は、江戸時代も、きっとこんな景観だったんだろうなと想像させてくれます。

瓦屋根や木材を多く使った建物がまっすぐに並んでいるだけでも、ほっと安心する景色ですね。

そして、どの建物も2階建てで高さが一定になっているのも、八坂の塔を眺めやすくしています。

無秩序に建築を許していると、このような町並みを残すことはできなかったでしょう。

二年坂

三年坂の途中で北に向かう石段を下ります。

ここから先は二年坂です。

二年坂

二年坂

二年坂も産寧坂の入り口付近と似た景観を残しており、数寄屋風の変形町家が軒を連ねています。

道幅は、八坂の塔に向かう辺りより広め。

二年坂からの眺めも、江戸時代のような景色で、観光客の方に人気がありますね。

北の端には、パークハイアット京都が建っていますが、高さがそれほどなく、二年坂の景観を壊していないのが好印象です。

ねねの道

二年坂を過ぎると維新の道と交差します。

その維新の道を少し西に歩いてから北に曲がると、ねねの道に入ります。

ねねの道を北に歩いていくと、右に高台寺へと向かう台所坂、左に圓徳院、中央に大雲院の祇園閣が見えてきます。

ねねの道

ねねの道

二年坂や産寧坂よりも道は広々しています。

西側に多くの建物が並び、中には塀や門がある豪邸も見られます。

また、道幅が広いためか、人力車もよく行き交い、明治や大正のような雰囲気が感じられるのも特徴的ですね。

ねねの道の途中に西に向かう細い石塀小路(いしべこうじ)もあり、こちらものちに産寧坂伝統的建造物群保存地区に加わっています。

今は、観光客が増えて騒がしくなったためか、石塀小路は撮影禁止となっていますが、歩くことはできるので、細い道に所狭しと建ち並ぶ町家の風情を感じてみると良いでしょう。

ねねの道から大雲院に突き当たったところで東に曲がってしばらく進み、北に向きを変えると正面に円山公園が現れます。

産寧坂伝統的建造物群保存地区は、円山公園の手前で終わりですが、公園内から望む東山の連なりも清々しい気分にしてくれますから、散策を終えた後に休憩したいですね。

円山公園

円山公園

以上、産寧坂伝統的建造物群保存地区の紹介でした。

記事中の写真は、人がほとんど写っていませんが、現在は産寧坂も二年坂も人が非常に多いので、日中に無人の写真を撮影するのは不可能に近いです。

写真撮影にこだわらず、景観を味わうように歩く方が満足度の高い観光になりますよ。

なお、産寧坂伝統的建造物群保存地区については、京都市の産寧坂伝統的建造物群保存地区保存計画のページに詳しく載っていますからご覧になってください。

宿泊