3月上旬。
京都市東山区の東福寺に参拝しました。
東福寺では、3月1日から18日まで、京の冬の旅の非公開文化財特別公開が実施されており、光明宝殿(こうみょうほうでん)を拝観できます。
京の冬の旅では30年ぶりの公開とのことだったので、この機会に見ておこうと思い東福寺を訪れました。
襖絵や仏像を鑑賞
東福寺は、JR東福寺駅もしくは京阪電車の東福寺駅から南東に5分ほど歩いた辺りに建っています。
今回、特別公開される光明宝殿は、境内の中央に建つ仏殿の東側にあり、その前に拝観受付が設置されていました。
拝観料は600円。
靴を脱いで光明宝殿の中に入ります。
建物内には、2つの部屋があり、襖絵などの絵画と仏像が展示されていました。
最初は絵画が展示されている部屋へ。
なお、光明宝殿の中は撮影禁止なので、ここからは文章のみで特別公開の内容を紹介します。
展示されていたのは、円山応挙や塩川文鱗(しおかわぶんりん)などの絵画です。
円山応挙の笠之狗子(かさのくし)には、笠に隠れた子犬が描かれていました。
塩川文鱗の魚籃観音図は、魚が入った籠を持つ観音さまが描かれていましたよ。
襖絵は、かつて普門院にあったもので、狩野派の絵師である渡辺了慶筆と伝わっています。
襖絵には、春夏秋冬の景色が描かれており、柳松遊禽図や桜梅遊禽図が描かれていました。
背景が金色の襖絵は、狩野派らしさを感じます。
展示される襖絵は、3月14日に一部が変更されるそうですよ。
次は、仏像が展示されている部屋へ。
中央には、大きな阿弥陀如来坐像が展示されていました。
この阿弥陀如来坐像は、東福寺の北に建つ万寿寺に伝わっていたもので、白河法皇の皇女郁芳門院(いくほうもんいん)の六条御堂の旧仏と言われていたり、もと三聖寺の本尊であったものが明治初年に万寿寺に移されたものとか言われています。
阿弥陀如来坐像の両脇には、金剛力士像も展示されていました。
大きさは人の背くらいでしょうか。
金剛力士像は、通常は、左側が口を閉じた吽形(うんぎょう)、右側が口を開けた阿形(あぎょう)なのですが、光明宝殿にあった金剛力士像は左が阿形、右が吽形となっていました。
運慶作と伝わる金剛力士像も、万寿寺伝来です。
部屋の左右には、怖い顔をした二天王像が立っていました。
高さは3.4メートルもあります。
二天王像は、もとは東福寺の三門の左右に安置されていたそうです。
多くの寺院では、三門には金剛力士像が祀られています。
二天王像は、もと三聖寺の二天門に安置されていたと伝えられています。
阿弥陀如来坐像の左には、傅大士(ふだいし)・普建・普成(ふじょう)像もあります。
傅大士は、経蔵の中にたくさんの経典を保管する輪蔵を作ったと伝えられています。
輪蔵を1回転させると、全ての経典を読んだのと同じ功徳を授かれるとされており、以前に訪れた仁和寺にも経蔵がありましたね。
他にも、僧形坐像や地蔵菩薩坐像も展示されており、いずれも立派なものばかりでした。
工作機械がなかった時代にこのような仏像を彫ったのですから、当時の仏師は、さぞ高度な技術をもっていたのでしょうね。
境内を散策
光明宝殿を拝観した後は、東福寺の境内を歩きます。
光明宝殿を出てすぐの場所には、アシビ(アセビ)が咲いていました。
こちらは仏殿です。
お参りをしましょう。
3月14日から16日まで、東福寺では涅槃会(ねはんえ)が行われ仏殿にも入れますよ。
涅槃会の期間は、仏殿に大きな涅槃図がかかるのですが、今年は修復中のため涅槃図はかからないそうです。
そのため、今年は別のものを見られるそうですよ。
仏殿の前の大きな木はイブキです。
境内の東側に建つ東司(とうす)の裏側では、椿がたくさんの花を散らしていました。
散り椿を見ると、春が到来したのだなと感じます。
三門の南側の紅梅は、咲き始めでした。
仏殿から東に続く参道の白梅も咲き始め。
参道の奥には、墓地があり、その近くにも梅が植えられていますが、まだほとんど咲いていませんでした。
涅槃会の時には、きれいに咲いていそうです。
臥雲橋(がうんきょう)を北に渡ります。
その途中から見る洗玉澗(せんぎょくかん)は、秋の紅葉が美しいのですが、3月はどのカエデも枝だけですっきりとしています。
臥雲橋から北に歩くと、白い塀越しに満開の白梅が見えました。
見事な白梅ですが、この塀の向こうには入れないので、外から見るだけです。
なお、東福寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。