戌年の初詣の予定はお決まりでしょうか。
多くの神社には狛犬がいるので、どの神社にお参りしても戌年らしい初詣となりそうです。
変わった姿をしている狛犬がいる神社は、戌年の初詣に訪れる方が多いかもしれませんね。
京都で「戌年の初詣ならあの神社」というところを思いつかないのですが、ちょっとひねりを加えて京都市北区の今宮神社はいかがでしょうか。
犬を大切にした徳川綱吉
今宮神社は、市バス停「今宮神社前」で下車してすぐの場所に建っています。
市バス停「建勲神社前」で下車して北に5分ほど歩いても行けますし、地下鉄なら北大路駅で降りて西に15分から20分ほど歩いても行けます。
境内の南側には、朱色の立派な楼門が建っています。
江戸時代は、戦国乱世が終わり泰平の世となった時代です。
しかし、武家社会の気風は、なかなか戦国時代から変わりませんでした。
仕事で粗相するとすぐに打ち首になったり、刀の試し斬りで何の罪もない人が命を絶たれたりしていたのが江戸時代前期です。
このような力で世の中を治めるのを武断政治と言いますが、これを否定して文治政治に変えたのが5代将軍徳川綱吉だったのです。
綱吉は、生類憐みの令を出して生き物をむやみに殺してはいけないとしました。
そして、特に犬を可愛がったことから綱吉は犬公方と呼ばれるようになります。
生類憐みの令が出されてからは、犬が歩いていると土下座しなければならないとか、野良犬に子供がかまれても助けることができないとか、いろいろな不都合があり、後に天下の悪法と言われるようになりました。
しかし、綱吉が将軍になる前は、打ち首や試し斬りが行われていたのに綱吉が亡くなって以降は無益な殺生はなくなり、本当の泰平の世が訪れたのです。
徳川綱吉は、実は名君だったんですね。
桂昌院のレリーフ
ところで、平和な世の中を築いた徳川綱吉と今宮神社は、どのような関係があるのでしょうか。
綱吉の生母は、京都の西陣生まれのお玉さん。
彼女は八百屋の次女として生まれたのですが、関白家の鷹司孝子に仕え、孝子が3代将軍家光に嫁いだ時に大奥に仕えるようになりました。
そして、家光の乳母の春日局に認められ、お玉さんは、家光の側室となり綱吉を産んだのです。
ちなみに玉の輿の「玉」は、将軍家に輿入れしたお玉さんのこととされています。
お玉さんは、家光の死後出家して桂昌院と名乗ります。
この頃、お玉さんの生まれ故郷の西陣の産土神(うぶすながみ)を祀る今宮神社が荒廃していました。
それを嘆いたお玉さんは、今宮神社に寄進し、元禄7年(1694年)から再興が始まりました。
また、それまで途絶えていた「やすらい祭」も復活させ、彼女は今も今宮神社の中興の祖として崇拝されています。
平成20年(2008年)には、桂昌院のレリーフも境内に設置されました。
平和な世を築き犬公方と呼ばれた徳川綱吉の生母桂昌院ゆかりの今宮神社。
戌年には、お参りしておきたいですね。
今宮神社のご利益
今宮神社の気になるご利益ですが、境内にはたくさんの末社があるので、どのような願い事も叶えてもらえそうです。
今宮神社に訪れたら、まず本殿にお参りをしましょう。
本殿には、大己貴命(おおなむちのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)、奇稲田姫命(くしなだひめのみこと)が祀られており、健康長寿のご利益を授けてくれます。
また、大己貴命は縁結びの大国主命(おおくにぬしのみこと)でもあり、良縁開運にもご利益があるとされています。
お玉さんも、本殿で良縁のご利益を授かったのではないでしょうか。
本殿の西隣の疫社は、健康長寿と厄除のご利益を授けてくれます。
さらに西にある織姫社は、西陣織の祖神を祀っています。
こちらは技芸上達のご利益を授けてくれますよ。
疫社の正面に置かれた石は、阿呆賢(あほかし)さんです。
重軽石とも呼ばれており、願い事が叶うかどうかを占えます。
手順は以下のとおりです。
- 手の平で三度軽く石を叩いて持ち上げる。
- 心に願いを念じながら優しく撫でる。
- もう一度持ち上げてみる。
石が最初に持ち上げた時より軽くなっていると願い事が叶うそうですよ。
交通安全のご利益を授かりたい方は、境内南東の宗像社にお参りをしましょう。
この社の台石にはナマズが彫られていますから、こちらも見ておきたいですね。
今宮神社への初詣が終わったら神橋を渡って東門から外に出ましょう。
東門の向こうには、あぶり餅屋さんが向かい合って2軒ありますので、休憩していくと良いですね。
戌年の初詣はにどの神社に行くか迷っているという方は、今宮神社に参拝してはいかがでしょうか。
なお、今宮神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。