京都市右京区のきぬかけの道沿いに建つ龍安寺(りょうあんじ)は、世界遺産に登録されている寺院です。
そのため、多くの観光客が訪れるのですが、特に春の桜の時期と秋の紅葉の時期はとても賑わいます。
ところで、龍安寺は、桜と紅葉のどちらが美しいのでしょうか。
そのようなことを問う方も、答える方も野暮だと思います。
でも、その質問に私が、野暮を承知でお答えしましょう。
龍安寺の桜
まずは春の桜から見ていきましょう。
龍安寺には、15個の石が配された石庭があります。
虎の子渡しの庭とも呼ばれています。
その石庭に入り込むように1本の枝垂れ桜が塀の外側に植えられています。
白砂とピンク色の桜の花が調和しており、見る者の心を和ませてくれますね。
龍安寺には、八重紅枝垂れ桜が多く植えられています。
参道にも数ヶ所に八重紅枝垂れ桜があり、満開になると紫がかった花を無数に付けた枝が、まるでシャワーのように空から降り注いできます。
また、龍安寺の境内には桜苑もあり、そこにも背の高い枝垂れ桜がたくさん植えられています。
高い位置から垂れ下がっている桜の花を見ていると、まるでピンク色の雨が頭上に降ってきているようですよ。
龍安寺の紅葉
次は龍安寺の紅葉です。
石庭からは、塀越しに紅葉を眺めることができます。
白砂と石組と紅葉の組み合わせは、秋のもの悲しさを感じさせます。
参道にもたくさんのカエデが植えられており、日差しを浴びた真っ赤な葉が透き通るように輝きます。
特に日当たりの良い葉は、鮮やかに紅葉し、多くの拝観者が思わず足を止めて見入ってしまいますね。
鏡容池の周囲にもたくさんのカエデが植えられています。
晴れた日に真っ赤に染まったモミジが、鏡のような水面に映し出される光景は、まるで天地がひっくり返ったのかと思うほどです。
水面に映った紅葉を見続けていると、時を忘れて鏡容池のほとりを何度も周ってしまいます。
それでは、龍安寺の桜と紅葉のどちらがきれいかを決定します。
桜もカエデも、植えられている本数は大差ないように思えます。
なので、春も秋も同じくらい自然の景色を楽しめますので、どちらの季節に龍安寺を訪れても満足できるはずです。
でも、あえて甲乙つけるなら、春の桜の方が美しいでしょう。
決め手となったのは、石庭の枝垂れ桜ですね。
塀を超えて花をたくさんつけた枝が石庭に入り込む景色は、非常に味わい深いんですよね。
この景色を見るためだけに龍安寺を訪れても十分に価値があります。
ぜひ、春は龍安寺にお花見に訪れてください。