京都市左京区の岩倉に石座神社(いわくらじんじゃ)という神社があります。
岩倉は、それほど観光客の方が訪れる場所ではないので、石座神社にお参りをする人も少なめです。
近くに実相院という有名なお寺があるのですが、そこを拝観した後、石座神社まで参拝に来る人もほとんどいません。ついでだから、石座神社にもお参りしたらいいのにと思うのですが、おそらく、神社の存在自体を知らないんでしょうね。
石座神社には、参道入り口に石造の鳥居が建っているのですが、境内の中にも小さめの鳥居が建っています。
初めて訪れた時は、その光景に違和感を感じました。
八所明神を祀る東社と十二所明神を祀る西社
石座神社は、叡山電車の岩倉駅から北に15分から20分ほど歩いたあたりに建っています。
下の写真に写っているのが、岩倉神社の入り口の鳥居です。
この石造の鳥居をくぐり石段を上っていくと拝殿があります。
さらに拝殿の後ろにある石段を上ると、正面の左側に東社、右側に西社が建っています。
東社に祀られているのは八所明神です。
その名のとおり、八柱の神様が祀られています。
祀られている神様は、石座、新羅、八幡、山王、春日、住吉、松尾、賀茂です。
一方の西社には、八所明神に伊勢、平野、貴船、稲荷の四柱を加えた十二所明神です。
これだけたくさんの神様を祀っているのですから、どんな願い事でも聞いてもらえることでしょう。
一言神社では願い事はひとつだけ
さて、先ほど境内の中にも鳥居があると述べましたが、その鳥居は、一言神社のものです。
鳥居をくぐり、狭い石段を上った先に一言神社の社殿が建っています。
一言神社に祀られているのは、一言主大神(ひとことぬしのおおかみ)です。
その名のとおり、一言だけ願い事を聞いてくれます。
なので、お参りをする時には、今、最も叶えたい願い事を聞いてもらいましょう。
神社の説明書によると、もともと一言神社は、ここから北北東へ約1km離れた村松にあったそうです。
一言神社の創立年代は不明ですが、奈良県御所市の一言主神社の総本社が賀茂氏本拠地の高鴨神社近くにあるので、賀茂氏の移動に伴って、一言主を祀る人たちがやってきた可能性が高いと考えられています。
元の神社の社殿は、後水尾天皇の娘で岩倉の万年岡茶屋に住んでいた女三宮が寛文8年(1668年)に再建したものだとか。
現在地に移ってきたのは、明治11年(1878年)のことです。石座神社の境内に鳥居を持つ別の神社が建っているのは、これが理由なんですね。
岩倉というと、幕末に岩倉具視が謹慎させられた地として知られています。
当時、岩倉具視は、村松にあった一言神社にしばしばお参りをしていたそうですよ。
岩倉具視は、一言神社のために2反(600坪)弱の田を購入し、収穫米の2石(300kg)を神社の維持費にあてました。
今も、一言神社が残っているのは、岩倉具視のおかげなのかもしれません。
石座神社にお参りをしたときは、東社と西社にはたくさんお願いをし、一言神社には最も叶えたい願い事を聞いてもらうと良さそうですね。
なお、石座神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。