三条大橋の西のたもとに八重紅枝垂れ桜が植わり、4月になると紅色の花が道行く人々の目を楽しませます。
その八重紅枝垂れ桜の隣には、時代劇に出てきそうな姿をした2体のブロンズ像が立っています。
この像は、弥次喜多像。
十返舎一九の『東海道中膝栗毛』に登場する弥次郎兵衛と喜多八を模したものです。
三条大橋ではしごを買わされる
三条大橋の弥次喜多像には、地下鉄の三条京阪駅、または、京阪電車の三条駅から西に約3分歩くと到着します。
弥次喜多像を見るなら、木々から葉が落ちた冬場がおすすめ。

弥次喜多像
江戸時代の旅姿をした像が2体仲良く並んで立つ。

弥次喜多像の全身
しかし、どちらが弥次郎兵衛でどちらが喜多八なのかはわかりません。
弥次郎兵衛は50歳、喜多八はその弥次郎兵衛に居候をする30歳ということなので、年長に見える方が弥次郎兵衛のはず。
そう思って像を見ると、右側の笠を被っている方が老け顔に思えるので、こちらが弥次郎兵衛なのでしょうか。
角度によって光の当たり方が変わり右側が若く見えることもあるので、結局、どっちがどっちなのかわからず。
弥次郎兵衛と喜多八は、江戸を出て東海道を西へ、京・大坂に旅をします。
物語では、大坂到着前、2人は三条大橋の宿に泊まり、はしごを買わされてしまう。
そういうことで、三条小橋商店街が、仁科会の会員で彫刻家の小山由寿氏に制作を依頼し、平成6年(1994年)に建立したのが、三条大橋たもとの弥次喜多像です。
弥次喜多像は、ただ制作しただけではなく、京都市右京区の西院春日神社(さいいんかすがじんじゃ)の境内に建つ旅行安全で知られる還来神社(もどろきじんじゃ)の祈祷まで受ける徹底ぶり。

還来神社
東海道五十三次の西の始発点である三条大橋に弥次喜多像を置くに際して、その御神徳を授かっておこうと考えたのでしょうね。
撫で石
還来神社の「無事に還り来る」との信仰にならい、弥次喜多像の足元には、旅の安全を祈願して撫で石も置かれています。

撫で石
撫で石は、鞍馬から産出された鞍馬石で、酸化鉄の含有量が多く、たまねぎ状に剥離が現れ、鉄さび色が全面を覆っているのが特徴的。
確かに弥次喜多像近くの撫で石も、やや赤みがかって見えます。
旅行で京都にお越しの方、これから、旅行に出かける方は、この撫で石を撫でて、無事に帰宅できるようお願いしておきましょう。
弥次喜多像は、三条大橋の西のたもとに設置されてから、多くの人に親しまれ、今では、東のたもとで土下座する高山彦九郎像と同じくらい知られるようになっています。
コロナ禍の時には、マスクをつけられることもありましたが、今でも、京都を物珍しそうに眺める表情は健在。

マスクをした弥次喜多像
これからも、鴨川を渡る人々の安全を見守ってくれることでしょう。