善能寺に見ごろを迎えた紅葉を見に行った・2025年

11月下旬に京都市東山区の今熊野観音寺に紅葉を見に行った後、南に約2分歩き、善能寺に参拝しました。

善能寺も、今熊野観音寺と同じく泉山(せんざん)の中に建つ泉涌寺(せんにゅうじ)の塔頭(たっちゅう)です。

今熊野観音寺には、多くの人が紅葉を見に来ますが、善能寺を訪れる人は少なめ。

ここでも紅葉を見られるんですけどね。

しっとりと色づくモミジ

善能寺には、JRまたは京阪電車の東福寺駅から東に約17分歩くと到着します。

今熊野観音寺の鳥居橋を渡ってすぐに左に曲がり、100メートルほど進むと、右手に善能寺の山門が現れます。

この辺りは、木々に囲まれて薄暗く、少し寂しさを覚えます。

山門の前には、大きめのタクシーが2台駐車中。

それなのに善能寺からは人の気配が漂ってきません。

きっと、タクシーの利用者は泉涌寺を拝観しているのだろうと思いながら、山門をくぐって境内へ。

山門

山門

石畳がまっすぐ西に向かって延び、その先に本堂の祥空殿が建っています。

祥空殿と紅葉

祥空殿と紅葉

善能寺の創建は弘仁14年(823年)と古いのですが、この祥空殿が建立されたのは、昭和47年(1972年)とお寺の歴史に比しては新しめ。

その前年に北海道横津岳で遭難した「ばんだい号」の遺族が、航空殉難者の慰霊と事故の絶無を願って建立寄進したのが、この祥空殿です。

空の事故は少なくなっていると言っても、まだ毎年ニュースになっていますから、航空事故が無くなるよう祈願しておきましょう。

祥空殿の右奥には、昭和の名園家重森三玲(しげもりみれい)が造営した池泉観賞式庭園の仙遊苑が配されています。

池には水が張られておらず、力強い大きな石がいくつも置かれています。

無造作な石の配置だなと思わなくもないですが、人がいない境内には、むしろ自然さを感じますね。

仙遊苑

仙遊苑

ここから10分ほど西に歩いた東福寺には重森三玲の庭園がいくつもあり、いずれも拝観料が必要ですが、善能寺は無料で見放題。

庭に植えられているカエデは、赤色になった葉もありましたが、ほとんどが黄色。

境内の南側の斜面に多くの木が植わっており、それが日射しを遮っていることが、赤く色づきにくい理由でしょうね。

仙遊苑の紅葉

仙遊苑の紅葉

善能寺には、何度か紅葉を見に来ていますが、真紅のモミジを見た記憶がありません。

それでも今年は、色は黄色くても葉がしっとりとして透明感も感じられ、今まで見た善能寺の紅葉の中では良い色付き。

祥空殿のわきから眺める境内の紅葉も、赤くなりきれていない不完全さがありますが、それがまた静寂の空間によく調和しています。

祥空殿わきから見る紅葉

祥空殿わきから見る紅葉

もしも、真っ赤なモミジだらけだったら、きっと多くの旅行者や観光客が訪れ、境内が騒がしくなるに違いありません。

仙遊苑の紅葉を外側から観賞。

紅葉と仙遊苑

紅葉と仙遊苑

池のほとりのコケがしっとりしており、水のない庭全体に潤いを与えているよう。

仙遊苑とはよく名付けたもので、周囲が木々に囲まれた庭園のどこかに佇む仙人が声をかけてきそうな雰囲気が漂っていましたよ。

黄色いモミジ

祥空殿から山門に戻ります。

山門の北には2つの社があり、大きい方は日本で最初に稲荷神を祀った稲荷神石社で、小さい方は稲荷大神を祀る社です。

稲荷神石社と紅葉

稲荷神石社と紅葉

お稲荷さんにもお参りをして、商売繁盛のご利益を授かっておきます。

山門の近くのカエデは、どの葉も黄色く染まり、赤くなっている葉が見られません。

黄色いモミジ

黄色いモミジ

日中は、どの時間帯でも日が当たりそうにない場所に植わっているので、赤くなれないのでしょう。

おそらく、これ以降も赤くなることはなく、黄色いまま散っていったのではないでしょうか。

稲荷神石社から境内全体を見渡します。

こうやって見ると、背の高い木が日射しを遮っているのがよくわかります。

境内の紅葉

境内の紅葉

先ほど見た祥空殿と仙遊苑の紅葉は、遠目だと色が薄く、あまり美しく感じられません。

あの紅葉も、これ以上赤くなることなく散ったのでは。

カエデの傘の下を歩き山門へ。

黄色いモミジと山門

黄色いモミジと山門

黄色いモミジも、たまには良かろうと思いながら善能寺から出るのでした。

善能寺の紅葉は、例年よりきれいに感じられましたが、全体が真っ赤に色づいたカエデを見ることはできませんでした。

私の他に参拝者は1人しかおらず、その人もすぐに出ていったので、境内はほとんど無人でしたよ。

なお、善能寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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