先日、京都市左京区の下鴨神社に参拝した時、糺(ただす)の森の馬場を歩きました。
馬場の横には、近年、賀茂斎院御歴代斎王御霊社や雑太社などの新しい社が建設されているのですが、その中に垂水(たるみ)と呼ばれる社殿のようなものもできているのに気づきました。
これまで馬場に建てられた社とは姿が変わっていたことが気になり近づいてみることに。
木から流れ出る清水
下鴨神社がある糺の森には、京阪電車の出町柳駅から北西に約5分歩くと到着します。
糺の森の馬場を北に歩き、ちょうど真ん中あたりにやってくると、いくつか社が建っています。
その中に混ざって、屋根の下に大きな木の切り株が置かれています。
これが垂水です。
木の切り株の下には、手水鉢が置かれています。
そして、木の根元からは水が流れ出していました。
近くの説明書に目をやると志貴親王(しきのみこ)が詠んだ歌が記されていました。
いはばしる 垂水の上のさ蕨の 萌え出づる春に なりにけるかも
この歌は、『万葉集』ハ、に収録されているものです。
岩の上を激しく流れる垂水のほとばしるところのワラビが芽ざし初めて春になったことを告げているとの意味だそうです。
糺の森の西には鴨川が流れており、流域に住む人たちにとって源流は糺の森と考えられており、四季に移ろう糺の森の幽邃(ゆうすい)と幽玄(ゆうげん)は、神々の鎮まる聖域として信仰されてきたとのこと。
垂水は、平成27年(2015年)の第三十四回・式年遷宮事業の一環として復旧工事が行われ、同30年4月に完了したそうです。
でも、その頃にも下鴨神社には参拝しているのですが、垂水を見たような記憶がありません。
木の切り株の周囲には、たくさんの石が置かれていました。
何か意味ありげですね。
垂水の説明書には、「広大な神の森の滴(しずく)をいただき、岩から流れる清水を両手にうけ、身体にそそぎ御生(みあれ)をして御神威をお受けください」と書かれていたので、水をすくっても良いようです。
でも、この真冬に冷たい水を手ですくうのは厳しいです。
身体にそそぐなんてこともできないですね。
また、暖かくなったら垂水で身体を清めましょう。
葵祭が行われる5月15日には、大勢の方が垂水の水をすくいそうですね。
なお、下鴨神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。