11月下旬に京都市東山区の東福寺の通天橋の紅葉を見た後、本坊庭園も拝観しました。
東福寺の本坊庭園は、昭和の作庭家の重森三玲が造営した庭園です。
秋の東福寺は、通天橋の紅葉を見に多くの観光客や旅行者の方が訪れますが、本坊庭園を拝観する人は意外と少な目です。
そのため、紅葉シーズンでも割と落ち着いて庭園鑑賞できます。
南庭
本坊庭園の入り口は、境内の中央付近に建つ庫裡(くり)にあります。
玄関で靴を脱ぎ、拝観受付で400円を納め、方丈へと進みます。
最初に目にするのは、方丈の正面に造られた南庭です。
東福寺の本坊庭園は、かつては八相の庭と呼ばれていましたが、2014年に国指定名勝に登録されたことで「国指定名勝 東福寺本坊庭園」に改められています。
お釈迦さまの生涯の8つの重要な出来事を八相成道(はっそうじょうどう)といい、八相の庭はそれにちなんで名づけられたものです。
八相成道は、蓬莱(ほうらい)、方丈、瀛洲(えいじゅう)、壷梁(こりょう)、八海、五山、井田市松(せいでんいちまつ)、北斗七星の8つからなります。
枯山水庭園の南庭の東端には、大きな石組があります。
これは、東の大海の彼方に蓬莱、方丈、瀛洲、壷梁と呼ばれる四仙島があるという蓬莱神仙思想を表現したものです。
そして、渦を巻く砂鉄は八海を表しています。
南庭の西端にあるコケの山は、五山になぞらえた築山です。
五山の後ろの塀越しに紅葉と経蔵が見えますね。
西庭から見る紅葉
方丈の西側に設けられた西庭は、コケとサツキがきれいです。
真四角に刈り込まれたサツキが特徴的で、中国の田制「井田」にちなみ井田市松と呼ばれています。
西庭の北の端からは、左手にサツキの緑色、右手にモミジの赤色が塀で区切られたおもしろい風景を見れますよ。
西庭の北側には、通天台と呼ばれる舞台があり、ここから溪谷の洗玉澗(せんぎょくかん)を一望できます。
モミジの向こうに見える橋は、通天橋です。
通天台に近いところに植えられているカエデは、まだ青葉が多く残っていました。
この辺りのカエデは、紅葉時期が遅めです。
北庭と東庭
北庭にやってきました。
こちらも市松模様が美しい庭園です。
盛り上がるように生えているのは、ウマスギゴケです。
北庭の紅葉も、まだ見ごろ前です。
北庭で見ておきたいのは、黄色いモミジの通天紅葉です。
上の写真の左の方に写っているのが通天紅葉ですね。
通天紅葉は、東福寺開山の聖一国師が宋から持ち帰った唐楓で黄金色に色づく珍しいカエデです。
私が訪れた日は、まだ通天紅葉は見ごろ前でした。
方丈の北東に植えられているカエデは、比較的紅葉が進んでいました。
見ごろまであと少しですね。
最後に見るのは、東庭です。
東庭には、東司(とうす)に利用されている柱石の余石が、北斗七星の形に置かれています。
ちなみに東司とは、現在のトイレのことです。
上の写真では右上に少ししか写っていませんが、生け垣が天の川を表現しています。
白砂とコケの緑の対比もきれいですね。
これで東福寺本坊庭園の拝観は終了です。
時間が許す限り、縁側でのんびりと南庭を眺めていたいですね。
東福寺本坊庭園の紅葉は11月末から12月初旬までは楽しめそうですよ。
なお、東福寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。