京都市上京区の京都御苑の西にある一条通沿いに虎屋京都店があります。
虎屋は和菓子の老舗で全国にたくさんの店舗を構えています。
創業は室町時代の後期というのですから、500年ほどの歴史がありますね。
京都には100年以上続くお店や企業がありますが、その中でも虎屋は、かなり歴史のあるお店なのではないでしょうか。
禁裏の菓子御用を勤める
2014年10月25日から11月30日まで、「虎屋 京都ギャラリー第10回企画展『京版画・芸艸堂の世界』」が開催されており、無料ということだったので、先日、虎屋一条店に行ってきました。
虎屋の創業の地は、ここ京都です。
後陽成天皇の在位中(1586-1611年)から禁裏(皇室)の菓子御用を勤めていたというのですから、格式の高さがうかがえます。
また、関ヶ原の戦いで西軍に味方した石河備前守(いしこびぜんのかみ)を虎屋がかくまったという故事が、妙心寺の「正法山誌」に記載されています。
日本史的にも、虎屋はなかなか興味をひくお店ですね。
今回、私は虎屋京都ギャラリーで、神坂雪佳や伊藤若冲の作品を鑑賞しただけで、お店の中には入っていません。
展示されていた伊藤若冲の作品は、絵の輪郭が浮き上がったように見える拓版(たくはん)という技法が使われた版画で、非常に興味深かったですね。
まるで、紙を彫刻刀で掘ったかのような作品でしたよ。
話を虎屋のお店に戻しましょう。
京都一条店では和菓子の販売の他に虎屋菓寮という喫茶も併設されています。
個室の他に庭園を鑑賞できるテラス席もあります。
また、店内には和菓子や京都の文化、建築・庭園などにちなんだ書籍も用意されていて、自由に読むことができます。
虎屋でいただいたお店の案内を見ていると、中庭には北野天満宮から拝受した白梅が植えられているそうです。
2月末から3月中旬頃に行けば、きれいな梅の花を見れそうですね。
敷地の南東には、灯籠が立っています。
伝承によると、昔、この灯籠のかげから親狸が手を出して、子狸のために食物を求めたので、赤飯と油揚を供えたところ、お礼に子狸を連れて姿を現したとのこと。
以来、この灯籠は狸灯籠と呼ばれるようになったそうです。
他にも中庭には、虎屋が古くから信仰している商売繁盛のお稲荷さんが祀られていたり、江戸時代後期から残る土蔵が建っていたりと、興味をひくものがいろいろとあります。