京都市東山区の清水寺の境内に成就院(じょうじゅいん)というお寺が建っています。
成就院は、京の夏の旅のキャンペーンとして9月2日まで特別公開が行われています。
今まで訪れたことがなかったので、この機会に拝観しようと思い、8月中旬に成就院に行ってきました。
徳川家光が再建
成就院は清水寺境内の北に建っています。
清水寺の仁王門をくぐった先に成就院の特別公開の案内が出ていたので、その矢印にしたがって進んでいきます。
そして、成就院の入口に到着。
玄関で拝観料600円を納めて、建物内に入ります。
今回の特別公開では、写真撮影が禁止されていたので、ここからは、文章のみで説明していきます。
中に入ると、畳の部屋に扇風機が置かれていました。
坂道を上ってきて、かなり汗をかいたので、扇風機の風が心地よいです。
扇風機で涼みながらガイドの方の解説を聞きます。
成就院は、清水寺を復興した願阿上人によって創建されました。
現在の建物は、徳川家光が再建したものです。
幕末には、月照と西郷隆盛が密談を交わしたお寺として知られています。
ちなみに清水寺の近くに建つ清閑寺でも月照と西郷隆盛は密談をしており、その史跡が今も境内に残っています。
月の庭
ガイドの方に成就院の歴史の解説を受けた後は、北の縁側に出て月の庭を鑑賞。
成就院の月の庭は、左京区の妙満寺の雪の庭、明治時代の廃仏毀釈で廃絶した北野成就院の花の庭とともに雪月花の三名園と称されています。
月の庭は、中心に池がある池泉回遊式庭園です。
右側は斜面になっていて四角い刈込がいくつもありました。斜面の上には持仏堂が建っています。
庭の境界線上には生垣があります。
面積は、1,500平方メートルほどとそれほど広くはないのですが、東山を借景としているので、倍以上の面積があるように見えます。
この庭が月の庭と呼ばれるのは、夜空の月が池に映し出されることが由来です。昔の人は、池に映った月を観賞していたそうです。なかなか風流ですね。
では、庭園にあったものをいくつか紹介します。
蜻蛉灯籠
池の中央やや左に火袋が小さい蜻蛉灯籠が置かれています。小さな火袋から灯りがほのかに見えることがその名の由来です。
借景の灯籠
蜻蛉灯籠の一直線上にも灯籠があります。この灯籠は借景の灯籠と呼ばれており、立っている場所は高台寺の敷地です。この借景の灯籠があることで、庭園内に東山を取り込んでいるように見えます。
烏帽子石
蜻蛉灯籠の右隣には、大きな岩があります。この岩は烏帽子石(えぼしいし)と呼ばれています。昔の公卿が頭にかぶっていた烏帽子に形が似ていることが、その名の由来です。
誰が袖手水鉢
縁側の前に置かれている手水鉢(ちょうずばち)は、誰(た)が袖手水鉢と呼ばれています。手水鉢の端が振袖のように伸びているのが、その名の由来です。
侘助椿
庭の左奥に植えられている木は侘助椿(わびすけつばき)です。朝鮮出兵の際、加藤清正が持ち帰り豊臣秀吉に献上したものと伝えられています。
西庭
月の庭を観た後は、西庭へ。
西庭の左奥には、三角形をした三角灯籠が置かれています。
また、正面は傾斜となっていて、たくさんの木が植えられています。
昔、この西庭の縁側から豊臣秀吉が京都市内を眺めたそうです。今は木が邪魔して京都市内を望むことはできません。
西庭を鑑賞した後、成就院から出ました。
最後にお寺の前に池があったので、写真を撮っておきました。
カエデがたくさんあるので、秋に訪れるときれいな紅葉が見れそうです。