東山文化の代表的建築物として有名なのが、京都市左京区に建つ銀閣寺です。
銀閣寺は、東山三十六峰の第10峰の月待山を背にしており、山に抱かれるように建っています。
そのため、初夏になると銀閣寺は新緑に包まれ、さわやかな景色を楽しむことができます。
最初は池と白砂に目が行く境内
銀閣寺へは、市バスに乗車して「銀閣寺」で下車し10分ほど歩くのが、通常の行き方です。
他にも京阪電車の出町柳駅から今出川通を東に20分ほど歩いても行くことができます。
ちなみに今回は、後者の方法で銀閣寺に訪れました。
銀閣寺は、哲学の道の北の端付近に建っていますが、そのあたりまで来ると道の左右には、お土産物屋さんが多く軒を並べており、観光客の方も増えてきます。
銀閣寺は、世界文化遺産に登録されているので、入り口の門は大きなものを想像してしまいますが、実際の総門は意外と質素な感じです。
総門をくぐると白砂の参道と呼ばれる参道を通って、拝観受付の中門に向かいます。
この白砂の参道の両脇は、高さのある竹垣で壁が造られています。
そして、中門で拝観料500円を納めて、拝観券と拝観案内をいただきます。
銀閣寺の拝観券は、金閣寺の拝観券と同じようにお札でした。
お札には、「銀閣観音殿御守護」と書かれています。
そして、拝観券を受付で提示して、いよいよ境内に入場です。
中門をくぐって、左手には、大きな松と庫裏(くり)がありましたが、それはほどほどに観て次へと進みました。
すると、銀閣寺の名物とも言える銀閣が建っています。
近くで見ると少し頼りない感じに見えます。
地震が起こるとすぐに倒れてしまいそうですが、室町時代から現在まで数々の災難をくぐりぬけてきた建物なので、そんなことはないのでしょう。
銀閣の前には、錦鏡池(きんきょうち)と呼ばれる池があります。
そして、錦鏡池の近くには、白砂を盛って造った向月台(こうげつだい)があります。
円錐形ですが、先は平らな盛り砂です。
これと同じようなものをどこかで見たような。
そう、上賀茂神社にもありました。ただ、上賀茂神社の立砂は、先が尖っているので、向月台とは、若干異なっています。
向月台の近くには、同じく白砂で造った銀沙灘(ぎんしゃだん)があります。
白砂が壇上に敷き詰められている銀沙灘は、背景の山の緑を際立たせています。
境内に入った時は、池と白砂に目が行っていたのですが、境内をぐるっと見回すと、新緑が美しい山に囲まれていることに気が付きます。
山に囲まれているのが銀閣寺の魅力では?
実際に銀閣寺に訪れて思ったのですが、銀閣寺は、境内にある建物や庭園といった人工的に作られたものを中心に観るよりも、山を意識して建物や庭園を観た方が境内がより美しく見えるのではないでしょうか。
境内を散策していると、ふとそのように感じました。
もちろん、建物や庭園を中心に観ても、美しいと感じます。
東求堂(とうぐどう)の前にある庭園も、眺めているだけで涼しく感じさせてくれます。
境内を一通り拝観した後は、山に登ってみることに。
山は、新緑に包まれていて、境内よりも少しひんやりと感じました。
山の上の方に行くと「お茶の井」と呼ばれる庭園があります。
お茶の井は、室町時代に8代将軍の足利義政が愛用したものです。
水質が豊かで現在も飲料水として使用されているとか。500年以上も涸れることなく涌きだしているというのが驚きですね。
登れるところでは、一番高い場所にあると思われる展望所に行くと銀閣寺境内を一望できます。
境内だけでなく、京都市街も眺めることができますね。
上の写真の中央から左にかけて見える山は吉田山です。
山から下りた後は、出口へと向かうことになりますが、入場した時とは別の角度で銀閣を観ることができます。
出口付近から観た銀閣の方が、しっかりとしているように見えますね。
銀閣は、銀箔が貼られていたと言われることがありますが、実際には建てられた時から今まで銀箔が貼られたことはありません。
銀閣という呼び名も江戸時代に付けられたもので、正式には観音殿と言います。
しかし、太陽に照らされた銀閣の屋根は、銀色に見えますね。
もしかしたら、太陽の光が反射した観音殿を見た人が、銀閣と名付けたのではないでしょうか。
何の根拠もありませんが、ふとそのようなことを思い付きました。
錦鏡池の近くには、苔の庭もありました。
苔の庭が黄緑色の空間を作っていますが、山に登っている時も新緑が黄緑の空間を作っていました。
苔の庭を観た後は、出口へ。
出口付近には、お土産を買える売店や休憩できるお店もあります。
観光の思い出や境内散策の疲れをとるために立ち寄ってみてもいいですね。
銀閣寺を訪れた感想を一言でいうと、やはり「山」でしょう。新緑の時期に訪れて正解だったと思います。
ちなみに金閣寺に訪れた時は、大きな池が印象的でした。
2つのお寺のイメージを表現すると、
池の金閣 山の銀閣
そんな感じですね。
なお、銀閣寺の詳細については、以下のページを参考にしてみてください。