京都市伏見区に西岸寺というお寺があります。
このお寺には、油掛地蔵尊が祀られており、商売繁盛のご利益があると言われています。
油商人の不運が商売繁盛に
西岸寺は、京阪電車の中書島駅から北に約10分、または伏見桃山駅から西に約10分歩いた場所に建っています。
西岸寺の近くには、大手筋商店街があり、普段から多くの人で賑わっており、まさに商売の街といったところです。
そして、西岸寺に祀っている油掛地蔵尊は商売のご利益があることから、町にぴったりのお地蔵さんと言えます。
ところで、西岸寺の油掛地蔵尊は、なぜ商売繁盛のご利益があると信じられているのでしょうか?
その昔、山崎に油商人がいました。
山崎は、京都府と大阪府の境にある地域で、今の大山崎町を指します。
その山崎の油商人が、油を売るために出かけ、西岸寺の門前あたりまで来たところ、うっかり油をこぼしてしまいます。
油商人は、商売にとって大切な油をこぼしてしまったことに対して、ひどく落ち込みます。
しかし、どんなに落ち込んでも、こぼしてしまった油はどうにもなりません。
そこで、商人は仕方なく、わずかに残った油を西岸寺のお地蔵さんに掛けて帰りました。
その後、油商人は大いに栄えて大長者になったと言われています。
そんなことから、油掛地蔵尊には商売繁盛のご利益があるとされているわけです。
もちろん、油をこぼした油商人が、自分の失敗を反省して、商売に打ち込んだことも大長者になった理由でしょう。
油掛地蔵尊が安置されている地蔵堂は、鳥羽伏見の戦い(1868年)で類焼しますが、明治27年(1894年)と昭和53年(1978年)に再建されています。
なお、西岸寺の由緒については以下のページを参考にしてみてください。
また、「M I Labo」さんの西岸寺(浄土宗)油懸地蔵を祀るお寺のページでは、西岸寺の地蔵堂内の写真が掲載されていますので、ご覧になってみてください。
2012年3月20日追記:上記ページは閉鎖されています。
他にも、「京伏見ぶろぐ処?」さんの伏見の油懸地蔵さんの記事でも写真を交えながら西岸寺について丁寧に紹介されています。この記事の中では、西岸寺近くの電気鉄道事業の発祥の地についても紹介されていて、こちらも興味深い内容となっています。
酒蔵や寺田屋など伏見の名所散策の際には、西岸寺にも寄ってみて、油掛地蔵尊に毎日の仕事がうまくいくように願掛けをしてみるのもいいのではないでしょうか。