京都市東山区の清水寺は、京都で最も多くの観光客が訪れるお寺として知られています。
清水の舞台など見るものがたくさんあるので、人気の理由がわかりますね。
そんな多くの人が参拝する清水寺ですが、観光で訪れたほとんどの人が通ったことがない門があります。
その門は、西門です。
遠くて見えない持国天と増長天
清水坂を上ってきて清水寺にやって来ると、すぐに目に入るのが仁王門です。
その仁王門から右に目をやると、石段の上に西門が建っています。
西門と書いて「さいもん」と読みます。
通常、参拝者は、この西門を通ることができません。
それどころか、石段を上がることもできません。
西門の左右には、持国天と増長天が祀られているのですが、遠すぎてはっきりと見ることはできません。
それなら、仁王門から石段を上って、西門の裏に行き、持国天と多聞天を見ようと考えても、裏側には壁があるので見ることができません。
現在の西門が再建されたのは、寛永8年(1631年)のことです。
説明書を読むと、西面して急な石段の上に建つ西門は、三間一戸、正面8.7メートル、側面3.9メートルの優雅な八脚門とのこと。
単層・切妻造り、桧皮葺屋根で、正面には向拝をつけ、七段の木階を設け、床と共に高欄をめぐらし、背面には軒唐破風を架ける大層珍しい形式だそうです。
軒は二十重垂木(しげたるき)、斗栱(ますぐみ)は和様一手先組み(わようひとてさきぐみ)なのだとか。
そう言えば、このような形の門を見たことがないですね。
西門の後ろには三重塔が建っています。
この景色も清水寺ならではと言えます。
西門は、かつては、朝廷からの使者を迎えるための勅使門としても使われていたそうです。
西山の夕焼け
普段は、西門下の石段を上ることができませんが、青龍会の時には、青龍がこの石段を上ったり下りたりします。
青龍会は、毎年3月14日・15日、4月3日、9月14日・15日の14時から行われます。
普段は、西門下の石段を歩く人を見ることができないので、青龍が上り下りする光景は貴重です。
西門は、神社で見る拝殿のような形をしており、開放されている中央の間は立派な折上小組格天井(おりあげこぐみごうてんじょう)となっています。
また、蟇股(かえるまた)や虹梁(こうりょう)、木鼻などを多く備えています。
現在の丹塗りと極彩色文様は、平成5年(1993年)に復元されていることから、西門の装飾は鮮やかです。
西門からは、京都市街や西山を眺めることができます。
特に美しいのが、西山の夕焼けです。
西山に沈む夕日の見事さから、西門は、西方極楽浄土を観想する日想観拝所となったとも考えられているそうです。
夜間拝観が行われている期間は、少し早めに清水寺を訪れ、西門から西山の夕焼けを眺めてはいかがでしょうか。
なお、清水寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。