葵祭の斎王の御神霊を祀る賀茂斎院御歴代斎王神霊社

7月下旬に京都市左京区の下鴨神社に御手洗祭を見に行った後、糺(ただす)の森の中を歩いていると、建てられて間もない社を見つけました。

その社は、下鴨神社の末社で、賀茂斎院御歴代斎王神霊社(かものさいいんのごれきだいのいつきのみやのみたまのおやしろ)と、随分と長い名を持った社です。

一体どういう社か気になったので参拝していくことに。

嵯峨天皇の時代に勧進

下鴨神社の最寄り駅は、京阪電車の出町柳駅です。

駅から北に5分ほど歩くと、下鴨神社の参道となっている糺の森に到着します。

その糺の森の馬場を北に進むと、雑太社(さわたしゃ)の隣に賀茂斎院御歴代斎王神霊社が建っています。

いかにも建てられて間もない社といった感じで、木造りの鳥居が汚れもなくきれいです。

鳥居

鳥居

鳥居の後ろにも、木造りの真新しい社殿が建っています。

社殿

社殿

それではお参りをしましょう。

当社に祀られているのは、有智子内親王(うちこないしんのう)ほか三十五代斎王御神霊とのこと。

近くにある説明書によると、明治27年(1894年)に賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ/下鴨神社のこと)の事歴を調査編修した「賀茂御祖神社御事歴調記」には、河崎社(こうさきのやしろ)・斎院鎮守御社合社と賀茂斎院御代々神霊社が合わせ祀られた社と記録されているそうです。

勧進されたのは、嵯峨天皇の時代ということですから平安時代初期ですね。

賀茂斎院の制が設けられたのは、弘仁元年(810年)4月のことで、初代の斎王は嵯峨天皇の第八皇女の有智子内親王が4歳の時に卜定されました。

以後、鎌倉時代の後鳥羽天皇の皇女・禮子内親王(いやこないしんのう)が建暦2年(1212年)に退下するまで35代、約400年に渡って代々皇女が斎王宮として在位しました。

竹垣

竹垣

当社は、昔から糺の森に祀られていたようですが、昭和33年(1958年)の第三十二回式年遷宮で造替の計画が進められ、祭神は摂社の三井社末社へ仮遷御され社殿は撤去されました。

しかし、戦後の混乱状況により遷宮が遅延し、平成27年(2015年)の第三十四回式年遷宮事業により再興されたそうです。

とは言え、当社は平成27年には再建されておらず、今の社殿が完成したのは平成30年に入ってからです。

糺の森に突如現れた賀茂斎院御歴代斎王神霊社は、実はとても歴史のある下鴨神社の末社だったのですね。

全景

全景

夏の糺の森は、木々の青々とした葉が日差しを遮り、ひんやりと涼しい風が吹き抜けていましたよ。

夏の糺の森

夏の糺の森

なお、下鴨神社の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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