東本願寺の菊門

京都駅から烏丸通を北に約5分歩いたところに東本願寺があります。

東本願寺には、烏丸通に面する門がいくつかあり、その中で最も大きな門は御影堂門(ごえいどうもん)です。

高さ27メートル、正面21メートル、側面13メートルあり、木造建築の山門では世界最大規模です。

この御影堂門が目立つためか、他の門に関心を寄せる人は少ないようで、御影堂門から北に歩いた場所に建つ菊門も忘れられた存在になっているように思います。

亀岡末吉が設計

下の写真に写っているのは、御影堂門と噴水です。

御影堂門と噴水

御影堂門と噴水

一目見れば、御影堂門の立派さがわかりますね。

そして、下の写真に写っているのが菊門です。

菊門

菊門

なんか古めかしい感じの門ですが、どこか気品が漂う意匠になっています。

一見すると、江戸時代以前に建てられた門のように見えますが、明治42年(1909年)起工、明治44年落成ですから、以外に新しい門です。

ちなみに東本願寺は、元治元年(1864年)の蛤御門(はまぐりごもん)の変で焼失しているので、ほとんどの建物が明治以降に再建されたものです。

菊門の屋根を見ると、弓なりになっている唐破風(からはふ)が付いているので唐門であることがわかります。

唐門は、朝廷からの使者である勅使が通る門として使われることが多く、勅使門とも呼ばれることがあります。

菊門の近くの説明書にも、かつて勅使門とよばれていた時期があったと記されていました。

菊門と呼ばれるようになったのは、烏丸通から見た門扉に大きな菊の紋章があることが理由とのこと。

菊の装飾

菊の装飾

菊の紋章が入っていると、高貴な印象を受けますね。

菊門を設計したのは、亀岡末吉です。

亀岡末吉は、東福寺の本坊庭園にある恩賜門仁和寺の勅使門も設計しています。

いずれの門も唐門です。

東本願寺の菊門は、「柱・門扉などを黒漆塗とし組物には極彩色を施しており、花菱をモチーフとした繊細な幾何学模様をあしらうなど、設計した亀岡末吉の独創的な意匠が随所に散りばめられている」とのことですが、写真を見てのとおり、門扉の黒漆塗は、すっかり薄れていますね。

東本願寺では、2025年3月まで、阿弥陀堂門、鐘楼、手水屋形の修復が行われていましたが、菊門は、修復されませんでした。

もっと長い年月が経てば、菊門も修復され、黒色の光沢が美しい姿がよみがえるかもしれませんね。

東本願寺に参拝した際は、菊門もご覧になってください。

門は常に閉ざされているので、通ることはできません。

なお、東本願寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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