京都市伏見区の勝念寺は、かましきさんの愛称で親しまれています。
かましきさんとは、当寺に祀られている身代釜敷地蔵尊が由来で、織田信長から賜ったお地蔵さまと伝えられています。
勝念寺を創建した聖誉貞安(しょうよていあん)上人は、織田信長が帰依していたお坊さんです。
織田信長は、他に多羅観音(たらかんのん)や門出八幡宮(かどではちまんぐう)のご神体も貞安上人に寄進したと伝えられています。
女性守護の多羅観音
勝念寺には、京阪電車の丹波橋駅から西に約3分歩くと到着します。
近鉄丹波橋駅からだと西に徒歩約5分です。
お寺の説明書によると、勝念寺の多羅観音は、チベット仏教の緑多羅菩薩という仏さまで、中国の元時代から明時代初期、13世紀後半から14世紀に造られたと推定されているそうです。
阿弥陀さまは、すべての生き物が苦しみながら生きていることを哀れに思い、その慈悲の心から、慈悲の化身である観音菩薩が生まれました。
観音さまは、この世に降り立ち、休むことなく苦しむ衆生を救済します。
しかし、どんなに救っても、それ以上に生き物が生まれては苦しみ、観音さまはすべての衆生を救うことができないと絶望します。
それを見た阿弥陀さまは、観音さまに大きな力を授けます。
阿弥陀さまの顔を加えた十一の顔と千本の手、そして、手にはすべてを見通す目を持った十一面千手千眼観世音菩薩の誕生です。
しかし、それでも、すべての生き物を救うことができなかった観音さまは泣き、その頬を伝わる水晶の涙から多羅菩薩が生まれました。
多羅菩薩は、観音さまを助けて衆生済度の活動を始めます。
どんな生き物も、その慈悲にあずかれないものはないと教えられています。
勝念寺に伝わる多羅観音は、高さが15cmほどの小さなお姿をしています。
女性の身のままで成仏すると誓った女性尊で、女性守護の仏さまと崇められています。
母のように優しく、そして親しみやすく、小さな悩みごとも聴いてくださるそうですよ。
門出八幡宮
境内の中央やや東側には、鎮守社の門出八幡宮が建っています。
門出八幡宮のご神体は、甲冑を着け、右手は刀印を結び、左手に弓を持つ立像とのこと。
八幡神の出陣の姿と見て門出八幡宮といわれているそうです。
かつて勝念寺では、ご神体を伽藍守護の鎮守として堂内で祀っていたのですが、新たに社を設け鎮守社として祀るようになりました。
交通安全、家内安全、身体健康、出世開運のご利益があるとされています。
勝念寺の多羅観音は、非公開なので普段は拝むことができませんが、春と秋に特別公開されることがありますよ。
なお、勝念寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。