天龍寺の曹源池庭園を様々な角度から鑑賞する

京都市右京区の嵐山に建つ天龍寺は、多くの旅行者や観光客が訪れるお寺です。

嵐山に到着すると、まず最初に向かうのが天龍寺という人も多いでしょうね。

天龍寺は、大方丈や多宝殿など見るべき建造物が多いですが、曹源池(そうげんち)と呼ばれる池を中心とした庭園が特に美しく、参拝した際には、隅々まで歩いて、じっくりと鑑賞したいですね。

嵐山、亀山・小倉山、愛宕山を借景にした庭園

天龍寺は、京福電車の嵐山駅を出てすぐの場所に建っています。

とても大きなお寺なので、迷うことはないでしょう。

天龍寺は、後醍醐天皇の菩提を弔うため、足利尊氏が夢窓疎石(むそうそせき)を開山に迎えて創建したお寺です。

かつて、この地は、檀林皇后が開いた檀林寺があった場所で、後に後嵯峨上皇の仙洞御所・亀山殿が造営され、後醍醐天皇も幼少期にここで過ごしました。

現在の伽藍は、幕末の元治元年(1864年)に蛤御門(はまぐりごもん)の変で焼失した後に再建されたものです。

幕末にほとんどの建物が灰となった天龍寺ですが、曹源池庭園は、創建当時の名残をとどめています。

曹源池と書院

曹源池と書院

曹源池を中心とした庭園を造営したのは、天龍寺開山の夢窓疎石です。

曹源池の名は、夢窓疎石が池の泥を上げたとき、池中から「曹源一滴」と記された石碑が現れたことにちなみます。

上の写真は、庭園の南側から北向きに撮影したものです。

庭園の北方には、愛宕山があり、曹源池庭園はそれを借景として取り込んでいます

写真に大きく写っている池が曹源池ですね。

曹源池を正面に眺めます。

正面に見る曹源池

正面に見る曹源池

この方向は西向きで、奥の亀山と小倉山も借景として庭園に取り込んでいます。

また、南の方角にそびえる嵐山も借景としているので、曹源池庭園は、大自然の中に作られた庭のような趣があります。

曹源池の中央奥の西岸には、龍門の瀧と三尊石を見ることができます。

龍門の瀧と三尊石

龍門の瀧と三尊石

上の写真の下側左に細長い石橋があり、その奥に巨岩が配された滝が見えます。

この枯山水の石組でできた滝が、龍門瀑(りゅうもんばく)とも呼ばれる龍門の瀧です。

龍門の瀧は、三段の滝となっていて、中国の故事「登龍門」にならったものです。

人生には、幾度か通り抜けなければならなない難関があり、これを飛び越え向上することを登龍門といいます。

そして、上の写真の右下に見える石組が三尊石です。

中央の石が釈迦如来、左側の石が文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、手前下側の石が普賢菩薩(ふげんぼさつ)を表しています。

また、龍門の瀧の手前にある石橋は、日本最古の橋石組です。

大方丈から見る曹源池

曹源池庭園は、池泉回遊式なので、歩きながら鑑賞できますが、天龍寺に参拝した際は、大方丈の中からも見ておきたいです。

大方丈から眺める曹源池

大方丈から眺める曹源池

縁側に座ってのんびりと眺める曹源池。

少し高い場所からの鑑賞なので、池のほとりの石組もよく見えます。

大方丈の室内から、龍門の瀧と三尊石を正面に見ましょう。

大方丈から曹源池を正面に見る

大方丈から曹源池を正面に見る

曹源池庭園は、本来、このように大方丈から鑑賞するものなのかもしれません。

奥に見える望京の丘に登ることができますが、木々が視界を遮るので、曹源池を見下ろすことはできません。

曹源池の東岸には、白砂が敷かれ、まるで浜辺のように見えます。

白砂

白砂

嵐山周辺には、背が高い建物がないので、大方丈から180度どこを見ても自然の景色が広がります。

自動車の音も聞こえません。

これも、天龍寺の曹源池庭園の魅力ですね。

曹源池と嵐山

曹源池庭園は、大方丈から西向きに鑑賞するものなのでしょうが、北側から南方向に眺めるのもおすすめです。

夏の晴れた日なら、曹源池に嵐山と空が映り込み、まるで池の底にもう一つの世界があるように見えますよ。

夏の曹源池と嵐山

夏の曹源池と嵐山

左手に大方丈が建っているのも、京都のお寺らしさを感じますね。

夏は緑がいっぱいの曹源池庭園ですが、秋になると池のほとりがきれいに紅葉した風景を見ることができます。

秋の曹源池と嵐山

秋の曹源池と嵐山

天龍寺の紅葉は実にきれいなので、訪れるなら11月がおすすめです。

ただ、紅葉の時期は、大勢の観光客で大混雑するので、落ち着いて庭園を鑑賞できないかもしれません。

それでも、一度は、紅葉した曹源池庭園を見ておきたいですね。

天龍寺の曹源池庭園は、四季折々に美しい景色を参拝者に見せてくれます。

夏や秋だけでなく、春も桜やミツバツツジがきれいですね。

冬は、木々から葉が落ち、寂しい姿になっているところもありますが、禅寺らしい身が引き締まるような景色を望むことができますよ。

嵐山に観光で訪れた際は、ぜひ、天龍寺の曹源池庭園も鑑賞してください。

なお、天龍寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。

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