3月末に京都市山科区の本圀寺(ほんこくじ)に桜を見に行った際、境内の建物も見て歩きました。
立派な建物や変わった建物がいくつかあり、初めて参拝する方は、興味深く感じることと思います。
今回の記事では、建物を中心に本圀寺を紹介します。
赤門をくぐる
本圀寺には、地下鉄の御陵駅(みささぎえき)から北東に10分ほど歩くと到着します。
山科疏水にかかる朱色の正嫡橋を渡ると、本圀寺の質素な総門が現れます。
その総門の近くには、人形塚があります。
中央には、こけしの形をした石が立っていますね。
総門の先には赤門が建っています。
この赤門は、開運門とも呼ばれており、文禄元年(1592年)に加藤清正が寄進したもので、平成8年(2005年)に修復し復元されています。
加藤清正は勝利の神さま「せいしょこさま」として尊崇されており、題目を唱えながら赤門をくぐると、必ず開運勝利の人生が開けると伝えられています。
「南無妙法蓮華経」と口にしながら赤門をくぐっておきましょう。
境内の建物
赤門をくぐってすぐの場所に建つ小さなお堂は、平成27年に建立された九名皐諦堂(くみょうこうたいどう)です。
中には、九名皇諦尊女をかたどった九名皇諦尊石が祀られています。
九名皇諦尊女は、「くみょうさま」とも呼ばれています。
天文法難(1536年)の時、大火の中に姿を現し危機を救ったと伝えられています。
題目を唱える人を必ず救うと誓いを立てた神さまで、特にガンなど難病を救ってくださる霊験があるのだとか。
境内の中央付近に建つのは、二天門です。
門の両脇には、怖い顔をした仁王さまが祀られています。
二天門には、健脚健康わらじが奉納されています。
足の立つ仁王像にあやかり、身体健全や子供の発育健全を願って、わらじを奉納するそうです。
足の治癒を願って、わらじを奉納しても良いようです。
二天門をくぐった先には、大本堂が建っているので、おまいりをしましょう。
本圀寺は、日蓮宗の四大本山のひとつ事始めの寺で、日蓮聖人が建長5年(1253年)に鎌倉の松葉が谷に創建した草庵法華堂が始まりです。
嘉歴3年(1328年)に後醍醐天皇の綸旨を受け、貞和元年(1345年)に光厳天皇の勅諚により京都六条楊梅(ようばい)の地に移りました。
もともと本圀寺は、「本国寺」と表記していましたが、水戸黄門でお馴染みの水戸光圀の帰依が篤かったことから、現寺名に改称したと言われています。
現在の山科の地に移ってきたのは、昭和44年(1969年)のことです。
境内の隣に建つ本師堂。
中には、閻浮第一立像釈迦牟尼世尊(えんぶだいいちりゅうぞうしゃかむにせそん)が祀られています。
「閻浮第一」とは世界中に2つとないことを意味しています。
日蓮聖人が伊豆の伊東に流罪になった際、片時も離さず拝んでいたお釈迦さまだそうです。
本師堂の近くに祀られているのは、九頭龍銭洗弁財天です。
九頭龍銭洗弁財天は、八大龍王の中で最も神通力の強い神さまで、特に金銭や財運を授けてくれます。
龍神さまの御神体から流れ出る御霊水でお金を洗い、浄財袋に入れて持ち歩くと、福禄寿が授かり財運がつき願い事がかなうと伝えられています。
金色の姿をした龍神さまが、金運のご利益を授けてくれそうですね。
なお、浄財袋は、札所で求めることができます。
大本堂の裏側に進みます。
境内の後ろには山があり、その山を少し上がったところに清正宮が建っています。
鳥居が金色。
中京区の御金神社(みかねじんじゃ)の鳥居も、このように金色ですね。
清正宮にお参りをしておけば、金運が上がりそうです。
再び赤門の近くにやってきました。
赤門付近には、鐘楼が建っています。
鐘楼に吊るされている大梵鐘は、文禄2年に豊臣秀次の母で豊臣秀吉の妹である村雲瑞龍院が寄進したものです。
総高は8尺(約240cm)、直径は5尺(約150cm)もあります。
約200名余の法号が記されており、その中には秀吉の両親の法号、木下家一族の法号、有力な末寺が列記されており、当時の歴史を示す貴重な文化財です。
梵鐘には「大光山本圀寺」との鐘銘があります。
先ほど、水戸光圀の「圀」の字から「本圀寺」と改称したと述べましたが、大梵鐘ができたのは水戸光圀の誕生前ですから辻褄が合いません。
本圀寺の大梵鐘の説明書によれば、「大光山本圀寺」の「光」と「圀」の字を水戸徳川家に贈り、それ以来、「光圀」と名乗ったと記されています。
鐘銘の作製年代からは、本圀寺の説明書が正しいと思われますね。
赤門の近くには、宝船に乗った七福神もいらっしゃいます。
まるで、参拝者が無事に帰宅できるように見送ってくれているようでしたよ。
以前に本圀寺に参拝した時は、諸堂の配置が今と異なっており、金色の装飾も多かったです。
まだ再建中のようですから、これから景観はもっと変わるかもしれませんね。
なお、本圀寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。