6月下旬に京都市右京区の仁和寺(にんなじ)に参拝した時、御殿と庭園を拝観しました。
仁和寺の御殿には、過去に一度だけ入ったことがあるのですが、それは随分と昔のこと。
せっかく仁和寺に参拝したので、久々に御殿に入り、気品のある建物と庭園を鑑賞することにしました。
白砂が広がる南庭
仁和寺の二王門をくぐり、少し進むと左手に本坊表門があります。
ここが御殿の入り口で、近くの拝観受付で500円を納め中に入ります。
表門をくぐると、形の整った松があります。
まっすぐに伸びた石畳の奥には大玄関があり、ここで靴を脱いで御殿の中に入ります。
御殿に入って順路に従って進み、白書院にやってきました。
白書院の建物は、明治20年(1887年)に御殿が焼失したため、仮宸殿(しんでん)として明治23年に建てられました。
その後、宸殿などの諸建造物が再建され白書院と呼ばれるようになったそうです。
白書院の前には、白砂が敷き詰められた南庭があります。
上の写真に写っている建物は宸殿です。
白書院の襖絵は、昭和12年(1937年)に福永晴帆によって描かれたものです。
松を主題とした襖絵で、白書院の部屋全体に松が描かれていますよ。
白書院から宸殿にやってきました。
宸殿から南庭を眺めると、勅使門や二王門も一緒に見ることができます。
仁和寺は、皇室関係者が代々住職を勤めてきた門跡寺院(もんぜきじいん)です。
宸殿は門跡寺院特有の建物で、仁和寺の宸殿は大正3年(1914年)に完成しています。
化粧材には、すべて木曽御料林産のヒノキ材が用いられており、明治以降の木造建築としては、設計、施行ともに最高のもののひとつなのだとか。
宸殿は、京都御所の紫宸殿と同じく檜皮葺、入母屋造です。
内部は、上段の間、中断の間、下段の間の3室からなり、東端には車寄席が設けられています。
宸殿内部の襖絵や障壁画は、大正2年に原在泉によって描かれたものです。
「遠山流水」、「桜花」、「葵祭之図」などを見ることができますよ。
池と白洲からなる北庭
宸殿の北側には、北庭が配されています。
北庭は白砂敷の白洲(はくす)と池があります。
特に見事なのが、池越しに見る五重塔です。
上の写真の木立に隠れるように建っているのは、光格天皇遺愛の茶屋「飛濤亭(ひとうてい)」です。
真っ白な砂の奥に石橋のかかった池がある北庭は、とても上品な景色です。
青空の下で眺めると、より美しく感じますね。
雨の日に御殿の中から眺める北庭も風情がありそうです。
御殿の最も北側に建つのは霊明殿です。
霊明殿には、歴代門跡の尊牌が安置され、本尊として薬師如来が祀られています。
薬師如来は秘仏だったため実態が不明でしたが、昭和63年(1988年)の調査で貴重なものであることがわかり、平成元年(1989年)に重要文化財に指定され、翌年に国宝に指定されました。
平安時代後期の円勢・長円の作だそうです。
しっかりとお参りをしておきましょう。
ちなみに霊明殿の中に入ると防犯ブザーが鳴るようになってますから、近づきすぎないようにしましょう。
黒書院にやって来ました。
黒書院は明治20年の御殿の焼失復旧のため、旧安井門跡の寝殿の遺構を移したもので、明治42年に完成しています。
内部は、竹の間、柳の間、松の間、秋草の間、上段の間で構成されています。
襖絵は昭和6年の宇多天皇一千年・弘法大師一千百年御忌の記念事業として、堂本印象が描いたものです。
黒書院の南側にはコケが敷かれた中庭があります。
黒書院の中から中庭を鑑賞。
コケとカエデが梅雨らしく青々としていましたよ。
黒書院の中を見た後は、売店を過ぎて大玄関に戻ります。
久しぶりに仁和寺の御殿と庭園を拝観しましたが、やっぱり気品がありますね。
私が御殿を拝観した日は、人が少な目でじっくりと建物内を見て廻ることができましたよ。
仁和寺に参拝した時は、ぜひ御殿も拝観してください。
なお、仁和寺の詳細については以下のページを参考にしてみてください。