神社に参拝する時、ほぼ必ずくぐるのが鳥居です。
鳥居は、神社の入り口に当たり前のように建っており、色の違い、木造りか石造りかといった違いには気付きますが、それほど姿形を意識せずにくぐるのではないでしょうか。
京都には珍しい形をした3つの鳥居があります。
それらの鳥居が建っているのは、蚕ノ社(かいこのやしろ)、北野天満宮の末社の伴氏社(ともうじしゃ)、京都御苑内にある厳島神社で、京都の三珍鳥居と総称されています。
蚕ノ社
京都市右京区の蚕ノ社は、正式には、木島坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)といいます。
蚕ノ社の入り口に建つ鳥居は、それほど気になる形をしていませんが、境内の奥にある元糺(もとただす)の池には、3本足の三柱鳥居が建っています。
柱が正三角形に組まれた鳥居で、四方より拝することができる変わった鳥居です。
中央の組石は、本殿に祀られている祭神の神座で宇宙の中心を表しています。
景教というキリスト教の一派の遺物ではないかと考えられていますが、創立時期も含めて詳しいことはわかっていません。
でも、1300年前の続日本紀に記載があることから、かなり古い鳥居のようです。
ただ、現在の鳥居は享保年間(1716-1736年)に修復されたもので、以前は木製でした。
蚕ノ社の三柱鳥居は、パワースポットらしい姿をしていますね。
伴氏社
京都市上京区の北野天満宮の参道を歩いていると、左手にいくつかの末社が建っているのに気づきます。
その中の伴氏社の鳥居も、他の鳥居とは違った形をしています。
上の写真をちょっと見ただけでは、どこが変わっているのかわからないと思います。
伴氏社の鳥居が変わっているのは、柱の下の部分です。
柱の下に台座が設置されているのも珍しいのですが、その台座に蓮弁が刻まれているのがさらに珍しいのです。
お寺の建物の柱に蓮華の台座が使われているのは見かけますが、神社の鳥居でこのような台座があるのを見たことがないですね。
作製年代は鎌倉時代とのことで、国の重要美術品に指定されています。
伴氏社は、北野天満宮の祭神の菅原道真の母を祀っています。
道真の母が大伴氏の出身だったことが、社名の由来です。
厳島神社
同じく京都市上京区の京都御苑内にある厳島神社の鳥居も、変わった姿をしています。
鳥居の上の部分が弓なりになっているのがわかるでしょうか。
通常、鳥居の上の部分は、まっすぐなのですが、厳島神社の鳥居は弓なりの唐破風鳥居(からはふとりい)です。
当社は、平清盛が安芸国から厳島大神を勧請(かんじょう)したのが始まりです。
この唐破風鳥居も平清盛が建立したもので、重要美術品に指定されています。
以上が、京都の三珍鳥居です。
神社に参拝する時、何気なくくぐっている鳥居ですが、よく見ると不思議な形をしているものを見つけることがあります。
そういった鳥居には、何かいわれがあるでしょうから、変わった形をしている鳥居を発見した時は、なぜそのような形をしているのか調べてみてはいかがでしょうか。