6月中旬に京都市伏見区の鳥羽に建つ安楽壽院に参拝した後、近くの北向山不動院にも立ち寄りました。
北向山不動院は、その名のとおり本堂が北向きに建っている寺院です。
安楽壽院からは西に2分ほど歩けば、北向山不動院に到着しますから、安楽壽院に訪れた時は一緒に北向山不動院にも参拝しておきましょう。
北向きに建つ本堂
北向山不動院の最寄り駅は、地下鉄と近鉄電車の竹田駅です。
駅から南西に徒歩約7分ですから、それほど遠くはありません。
今回は、安楽壽院の参拝後だったので、東側の入り口から境内に入ることに。
入り口近くに建つ会社のオフィスの日陰では、ネコが気持ちよさそうに昼寝していました。
それでは境内に入りましょう。
東から境内に入ると、右手にたくさんのお地蔵さまが祀られています。
そのお地蔵さまたちの隣には、一筋の滝。
この日は、まだ梅雨なのに30度を超す暑さでした。
それでも滝から水が落ちる景色を眺めていると涼しく感じるものですね。
滝の隣には、洗心井戸があります。
井戸から湧き出る水は、洗心水と呼ばれ、嘉永2年(1849年)から行者の修行を行うお滝や参詣者の心身を清めるお水として大切にされてきました。
この洗心水で心身を清め護摩壇の龍水泉のお水でお不動さんに心願を唱えてお供えするそうです。
なお、境内の西側にも洗心井戸があります。
洗心井戸の隣に建つ薬師堂。
このお堂に祀られている薬師如来は、弘法大師作と伝わっています。
お参りしておきましょう。
そして、北向きに建つ本堂へ。
北向山不動院は、もとは天台宗延暦寺派のお寺でしたが、大治5年(1130年)に鳥羽上皇の勅願により興教大師を開山として鳥羽離宮内に建立されました。
北向きに本堂が建つのは、ここから北に平安京があったからです。
本尊の不動明王を王城鎮護のために北向きに祀ったのです。
その後は応仁の乱などで荒廃しましたが、正徳2年(1712年)に東山天皇の宮殿を賜り、現在の本堂が再建されています。
それでは、本堂にもお参りです。
一願不動梵鐘
本堂から南へと延びる参道を歩きます。
参道には、千手菩薩、虚空蔵菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩の4体の菩薩さまがいらっしゃいます。
近くでは、ピンク色の花が咲いていますね。
菩薩さまの後ろには、鐘つき堂が建っています。
この鐘つき堂に吊るされているのは、一願不動梵鐘と呼ばれる鐘です。
建立されたのは元禄7年(1694年)だそうで、鐘を鋳造したのは名越昌乗齋浄味です。
浄味は代々お茶の釜を造って有名でしたが、方広寺の大仏殿の大梵鐘を鋳造して、梵鐘でも有名になりその技法を生かして、当院の梵鐘も鋳造したそうです。
方広寺の梵鐘と当院の梵鐘とは、作成年代が100年ほどずれています。
代々、後継者が名越昌乗齋浄味の号を継承し、梵鐘を鋳造し続けていたのでしょうか。
一願不動梵鐘の銘は霊元天皇の皇子二品斉親王が書いたものだとか。
梵鐘の音は遠くまで響き、当時は伏見一円、巨椋池(おぐらいけ)まで達したと伝えられています。
北向山不動院から巨椋池までは、どれくらいの距離があるでしょうか。
5kmはありそうなのですが、それにしても遠くまで響き渡っていたものですね。
境内の南側にある山門から外に出ましょう。
北向山不動院の山門は、いつ見ても朱色が鮮やかです。
なお、北向山不動院の詳細については以下のページを参考にしてみてください。