京都市左京区の糺(ただす)の森に覆われた下鴨神社は、世界遺産に登録されている京都を代表する神社です。
下鴨神社の創建は古く、平安時代よりも前とされており、その長い歴史の中で数々の伝説が生まれ、今も七不思議として語り継がれています。
今回の記事では、その七不思議を紹介します。
その1.泉川の石
七不思議の一つ目は泉川の石です。
下鴨神社の入り口から参道を北に進むと、左手に河合神社があります。
馬場から河合神社に行くには、紅葉橋(もみじばし)という橋を渡ることになるのですが、この紅葉橋のたもとには、かつて雨乞いの社である「こがらし社」がありました。
願いが叶い雨が降ると泉川の小石がはねると伝えられています。
下鴨神社の祭神は、賀茂建角身命(かもたけつのみのみこと)ですが、別名ヤタガラスとも言います。
ヤタガラスに参拝する際は、細く長い参道を通る必要があり、下鴨神社には糺の森の木の間を分けて、幾筋もの細い参道がありました。
この細い参道を烏縄手(からすのなわて)といい、紅葉橋はそのひとつでした。
現在、下鴨神社では、烏縄手の一部が復元されています。
その2.赤椿
2つ目の不思議は、赤椿です。
糺の森には、赤い花を咲かせる椿がたくさんあります。
実は、下鴨神社の椿は、神主の位が高く、当社に訪れる勅使の位の方が低かったため、神主の装束が目立たないように植えられたそうです。
その3.切芝
切芝は、古来から祭場とされており、糺の森の中心にあたります。
そのため切芝は、糺の森のへそとされています。
平成13年(2001年)の発掘調査で検出された祭祀遺構のうち、石敷遺構が復元されました。
その4.船島・奈良社旧跡
御手洗川(みたらしがわ)と泉川の三角州の辺りには、船島・奈良社旧跡があります。
日照りや戦乱時に川の流れをかき回すと、小石がはねて、願い事が叶うと伝えられています。
下鴨神社の説明書によると、船島は、当社の祭神が降臨した場所で、その形が船に似ていることが島の名の由来だそうです。
2つの川が合流する場所にあるため、祭祀場としては、常に清浄に保たれた理想の場所だとか。
下は、船島の写真。奈良殿神池(ならどのかみのにわ)とも呼ばれています。
その5.連理の賢木
七不思議の5つ目は、楼門の手前にある連理(れんり)の賢木(さかき)です。
隣に建っている縁結びの相生社(あいおいのやしろ)の神威によって、2本の木が1本に結ばれたと伝えられています。
ちなみに連理の賢木は、縁結びの神木として信仰されています。
その6.何でも柊
楼門をくぐって左に進むと比良木社(ひらきしゃ)が建っています。
厄年の祈願として、比良木社の周りに献木すると、ことごとく柊(ひいらぎ)に変わって、願い事が叶うとか。
その7.御手洗川の泡
最後の不思議は、御手洗川(みたらしがわ)の泡です。
境内の北東に建つ御手洗社の辺りから流れている御手洗川に足を浸すと、泡が湧いてくるそうです。
また、御手洗川は、土用が近づくと水が湧き出すとも言い伝えられています。
そして、その様をかたちどったのが、みたらし団子だそうです。
毎年、夏の御手洗祭では、足つけ神事も行われ、参拝者は御手洗池に入ることができますよ。
以上が下鴨神社の七不思議です。
下鴨神社に参拝する際は、七不思議も探してみると楽しいですよ。