京都市左京区の叡山修学院駅から東に20分ほど歩くと曼殊院というお寺に到着します。
曼殊院は、室町時代から皇族関係者が代々住職となってきた格式の高い門跡寺院(もんぜきじいん)で、境内に小堀遠州好みの枯山水庭園があることで有名です。
勅使門からは入れない
修学院駅から長い坂道をのんびりと歩きながら曼殊院へと向かいます。
この辺りは、人が少なく、非常に静かな空間が広がっています。
ただ歩いているだけで、心が安らいできますね。
坂道を上りきると曼殊院の勅使門が現れます。
この門が入り口かと思って石段を途中まで上ると、通行止めの棒が横たわっています。
どうやら勅使門は入り口ではないようです。
よくよく周囲を見渡してみると、拝観入口への矢印がしっかりと立っていました。
その矢印に従って、塀の脇の道を歩いて拝観入口へ。
石垣の上には、びっしりと緑色の苔が生えています。
拝観入口は、お寺の北側にあります。
門をくぐって拝観料600円を納めて、いざ建物内へ。
訪れたのは2月下旬。
曼殊院内には梅林があり、そろそろ良い具合に咲き始めていることを期待していたのですが、残念ながらまだほとんど咲いていませんでした。
梅を観賞するなら3月上旬に訪れた方が良さそうです。
鶴島と亀島を配した枯山水庭園
梅林を過ぎた後は、大書院へ向かいます。
大書院と小書院の前には、小堀遠州好みの枯山水庭園があります。
大書院前の庭には鶴島があります。
鶴島には、樹齢400年の五葉(ごよう)の松が植えられています。
この松は、根もとの枝が横に長く延びて、途中から天に向かって反り上がっています。
五葉の松は、鶴をかたどったものだそうです。
なるほど、そう言われると鶴に見えてきますね。
大書院の奥には、小書院があり、その前には亀島があります。
亀島には、以前、地を這う亀のような形をした松があったそうです。
現在では、島の中央に背の低い松が植えられており、その周りに石が置かれています。
枯山水庭園は、季節による変化がない白砂と石で造られているものが多いので、冬に訪れても十分に楽しむことができるのが魅力です。
とは言っても、曼殊院は春や秋に訪れた方が、より庭園を楽しむことができそうです。
私は、今回初めて曼殊院に訪れたのですが、やはり紅葉の時期は人気があるようですね。
また、春の霧島ツツジもきれいだそうです。
「京・花壺螺暮」さんの下記記事では、真っ赤な霧島ツツジの写真が掲載されています。この写真を見ると春に曼殊院に訪れたくなります。新緑も美しいですね。
建物内の拝観
曼殊院は、枯山水庭園の拝観の他に建物内の宝物も鑑賞することができます。
ただし、建物内は撮影禁止です。
曼殊院に保存されている黄不動尊と古今和歌集曼殊院本は国宝に指定されています。
安土桃山時代から江戸時代初期にかけての宝物が多く、狩野永徳の襖絵、狩野探幽の障壁画、徳川家康などの武将の直筆書状などが保管されていました。
他にも、茶碗やカルタのようなものなど、とにかくたくさんの宝物を鑑賞できます。
中には、幽霊が描かれた掛け軸もあります。
この幽霊の掛け軸の側には、「撮影厳禁」と書かれた貼り紙があり、近くの注意書きを読むと「写真撮影すると恐ろしいことになる」といった内容のことが書かれていました。
こんな怖い注意書きが書かれていたら、誰も写真を撮ろうとは思わないでしょうね。
曼殊院に訪れた時は、庭園の拝観だけじゃなく、宝物もじっくりと鑑賞してください。
また、建物内には、大黒天と弁財天も祀られており、それぞれのお札もいただくことができますよ。
なお、曼殊院の詳細については、以下のページを参考にしてみてください。