京都のシンボル的な建造物と言えば、京都駅の京都タワーと東寺の五重塔ではないでしょうか。
どちらも京都駅の近くに建っているので、京都に旅行や観光で訪れた時には、真っ先に訪れるという方もいらっしゃることでしょう。
ところで、東寺は五重塔や金堂などを拝観する場合、拝観料を納める必要がありますが、拝観料を納めなくてもよい建物があることをご存知でしょうか。
そこで、今回の記事では、拝観料を納めなくても拝観できる東寺境内の建物を紹介したいと思います。
境内の北側
東寺の門は、南にある南大門が有名ですが、京都駅や近鉄東寺駅から訪れる場合、北東にある慶賀門から入るのが便利です。
慶賀門から入場してまっすぐに進んでいくと食堂という建物が見えてきます。
読み方は、「しょくどう」ではなく、「じきどう」です。
食堂は、僧侶が斎時に集まって食事をした場所です。
現在の食堂内は、四天王像が祀られています。
しかし、この四天王像は、昭和5年(1930年)の火災で損傷し、なんとも痛々しい姿となっています。
食堂の正面に建っている小さな建物は、夜叉神堂といいます。
夜叉神堂には、夜叉神像が安置されています。
夜叉神像は、当初は南大門の左右に安置されていましたが、旅人が拝まないで通ると罰があたったことから、その後、中門の左右に移されました。
しかし、中門が慶長元年(1596年)に倒壊したので、現在地に小堂を建てて安置したとのことです。
境内の西側
夜叉神堂の西には、下の写真に写っている門が建っています。
門の奥には、毘沙門堂、大師堂、大日堂が建っています。
門をくぐってすぐの場所に建っているのが毘沙門堂です。
毘沙門堂は、文政5年(1822年)に建立され、兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)が祀られました。
兜跋毘沙門天は、天慶2年(939年)に平将門の乱が起こった時に都の守護神として羅城門に祀られましたが、天元元年(978年)に羅城門が倒壊した後は、東寺に安置されました。
毘沙門堂の北側には、大師堂が建っています。
大師堂は国宝に指定されており、弘法大師作で念持仏と伝えられている不動明王像が安置されています。
屋根が落ち着きのある檜皮葺なので、大師堂を眺めていると穏やかな気持ちになってきますね。
大師堂の北側に建っているのが大日堂です。
大日堂には、役小角(えんのおづぬ)の作と伝えられている胎蔵界大日如来が祀られています。
大日堂は、元禄11年(1698年)に大師堂の礼拝堂として建立されました。当時は、一般の人は大師堂に入れなかったので、大日堂からお大師様を拝んだとか。
南側の神社
大日堂にお参りした後は、境内の南側に移動です。
南大門の近くには、八幡宮と八嶋社という2つの神社が建っています。
南大門の西側に建つ八幡宮は、延暦15年(796年)に平安京と東寺を守護するために創建されました。
八幡宮には、一本の檜材から弘法大師が造った僧形八幡神座像と2体の女神座像の計3体が祀られています。
南大門の東側に建っているのが、八嶋社です。
八嶋社は、東寺の創建以前から当地に建っていたそうです。
弘法大師空海は、東寺の建立の際、八嶋社に寺門造立成就、方位安全、法道繁盛を祈願したと伝えられています。
以上、東寺境内の拝観料を納めなくても拝観できる建物を紹介してきました。
どの建物も歴史的に興味深いものが多いので、これらを観るだけでも東寺に訪れる価値は十分にありますね。
また、東寺を去る時は、南大門から出て、近くの陸橋に上がってみてください。
ここからの東寺の眺めはなかなかのものですよ。
なお、東寺の詳細については、以下のページを参考にしてみてください。